研究課題/領域番号 |
22K12157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
松本 一教 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (40350673)
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研究分担者 |
大須賀 昭彦 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90393842)
田中 哲雄 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (90727984)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | チャットボット / QOL / 生成AI / 活動量計 / QoL / OpenPose / 身体活動 / ビッグデータ / データマイニング |
研究開始時の研究の概要 |
QoLとは,人生や生活を特定の観点に偏って評価するのではなく,些細なことにも自己の特色や特長を見出し,プラス思考で豊かに生きるという考え方である.本研究では,健常な大学生に対象を絞り込み,工学的見地から,QoLを明確に定め,自動的に収集するデータからの自動的なQoL推定方法を開発する.推定したQoLにもとづいて,その結果を本人にフィードバックして,自動的な自己改善につながる仕組みを開発して,その有効性を評価する.
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研究実績の概要 |
昨年度から継続してQoL支援システムの開発を行った.ごく最近に利用可能となった生成AIの機能を組込み,自然言語処理能力を大幅に向上させたシステム(QoLチャットシステム)として評価実験ができるレベルとなった.このシステムはユーザとシステムとの継続的な対話により,QoL改善の支援を目的としている.処理概要は以下の通りである.(1) 従来から文献提案されているミラクルクエスチョン法によりユーザとの対話を繰り返す,(2)対話を要約処理して典型課題データベースとのマッチング処理を行い過去事例(アクションプランを含む)を検索する,(3)過去事例のアクションプランを複数提示してユーザの自己選択を促す,(4)ユーザが選択したアクションプランを詳細化する,(5)アクションプランの実行について定期的な対話を継続し改善活動の継続を支援する. 今年度のシステムの評価実験として,n=10程度の少人数に対して1月間程度の継続利用を行い,日本語処理能力の適切性では実用に耐えることが確認できた.機能の有効性では,WHO-26を用いた質問紙法によって効果のラフな検証を行ったが,システムデバッグも兼ねて行っているため,厳密な有効性評価は次年度以降に実施行う. またQoLチャットシステムのためには,過去事例データベースを生成AIに組み込んで参照可能とする必要がある.大規模言語モデル(LLM)を事例データベースでファインチューニングする方法とデータベース技術的な手法であるRAG(Retrieval Augmented Generalization)を用いる方法の2種類を実装しており,各々についての評価実験ができる段階になった.いずれの手法でも,過去事例の利用は可能となるが,生成AIが抱える問題(ハルシネーション)による誤回答が発生しており,その解決は次年度の課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生成AIなど新たな技術を取り入れた開発を行うことにしたが,初期の技術習得に多少の時間を要した以外はとくに問題は発生していない.従来の開発では自然言語処理を伴うインタフェースを自作していたが,生成AIの利用に切り替えることで,むしろ開発効率向上に役立ち,システム開発の観点からは順調であった.一方,本研究独自のQoL尺度の開発については,当初契約よりもやや遅れ気味である.総合的に判断して,ほぼ当初の計画通りと判定できる.
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今後の研究の推進方策 |
規模を拡大した実験が可能なレベルに到達したので,有効性の実験的な検証を行いながら研究を進める.本研究の構想および申請時での予測を超えて,生成AIの技術が急速に進展している.本研究が目指すQoL支援において,生成AIの活用可能性が拡がっているので,できる限り取り入れていく.強力な自然言語処理能力が手軽に実装できるようになった利点を活用していく.一方において,この技術の持つ課題解決にも努める必要があるので,本研究にも組み込んでいく. QoL尺度の研究や測定方法に関しては,今年度までに利用してきたWHO-26の手法や欧米で以前から利用されている"The Quality of Student Life Questionnaire"を可能な限り縮約する方針で研究を進める.
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