研究課題/領域番号 |
22K12175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
笠井 裕之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40312079)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 最適輸送理論 / 緩和最適輸送問題 / 非構造データ / メッセージ・パッシング / グラフ分類 / 機械学習 / 最適化 / 最適輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
最適輸送問題は,測度論と最適化理論の両輪を基礎に置き,始点から終点への質量保存の制約の下での二つの確率測度間の最小輸送距離を求める問題として定義される.特筆すべき点は,KL情報量等とは異なり確率測度の空間的な位置も考慮可能であり,ベクトル間距離と確率測度間距離の双方を考慮した最適輸送距離が定義可能になる点にある.これに加えて,数学的定義式が微分可能であることから,近年,この最適輸送距離は多くの機械学習問題で用いられている.そこで本研究では,最適輸送問題の更なる発展を目指し,最適輸送問題求解のための最適化手法と,最適輸送問題の半教師有り学習への応用および非構造データ学習への応用について研究する.
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研究実績の概要 |
機械学習に代表される高知能データ処理技術を利用したシステムの社会実装が精力的に進められている.そのような中,大規模・高次元データを効率良く処理可能な高知能データ処理技術への期待は高い.ここで,データ間距離の定義や距離を用いた機械学習モデルの構築手法,またそれらの計算方法である最適化手法については従前の手法にとらわれない挑戦的な考え方や手法の確立が必要である.本応募では,近年,機械学習の分野で着目されている最適輸送理論に着目し,その最適化手法と機械学習への応用について研究する. 本年度は,まず,質量保存制約の緩和最適輸送問題における高速最適化手法について,一部の制約を緩和した半緩和最適輸送問題について検討した.具体的には,エントロピー正則化が存在する場合についてブロック座標Frank-Wolfeアルゴリズムに基づく最適化手法を提案した.具体的には,半緩和問題の変数ブロックを直接利用し,要求誤差最適性に対する反復計算量を,次元/半緩和正則化係数/要求誤差にのみに依存した形で導出した.さらに,(ii)フェンシェル線形化双対ギャップがラグランジュ双対ギャップと一致することを明らかにした.一方,エントロピー正則化が存在する場合の半緩和最適輸送問題についてアルゴリズム構築および理論的収束証明を与えた.次に,非構造データの一つであるグラフ構造を対象として,最適輸送距離による非構造データのデータ表現について検討し,グラフノードのマッチングと最適輸送の類似性に着目し最適輸送の概念を導入した部分構造間距離の検討を行った.特に,メッセージ・パッシング手法で得られた特徴量について木編集距離を用いてノード間距離を定義し,またその効率的な計算方法を提案した.最後に,グラフ分類精度向上に関する数値実験結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的通り,研究成果はでている.特に,半緩和最適輸送問題についての理論解析についての一定の結果が得られたことは大きい.また,グラフマッチングなどの問題に適用可能なグラフっ表現およびその最適輸送アルゴリズムについての研究成果も出ている.
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今後の研究の推進方策 |
応用問題も見越したアルゴリズムの構築も視野にいれることで,研究の広がりを模索していく.
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