研究課題/領域番号 |
22K12178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
坪根 正 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (50334694)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 左右揺動歩行ロボット / 同期現象 / 吊り橋 / 分岐理論 / 分岐現象 / 非線形力学系 |
研究開始時の研究の概要 |
振り子モデルを基にした基礎(吊り橋)の上で左右揺動歩行(左右の足踏みの様な歩容)を行うロボットの動作を記述するモデルの導出を行い,基礎の揺れ(振動)と歩行のリズム(歩容が)揃うような現象,つまり同期状態へ至るメカニズムを解明する.また,その同期現象の発生条件を導くための分岐解析を行う.モデルの妥当性を確認するために実機の作成を行い歩行動作の測定実験による検証も行う.これらより,同期モードが遷移する分岐現象のメカニズムや発生するパラメータ条件を明らかにする.更に,複数の左右揺動歩行ロボットによる大規模な検証を行い,ロボット同士の自然な同調メカニズムの解明を行う.
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研究実績の概要 |
前年度に導出した吊り橋の様な動く基礎の上で左右の足踏みの様な歩容である左右揺動歩行を行う左右揺動歩行ロボットの力学モデルを簡略化し,2次元の非線形微分方程式とそれらの結合系として記述した.本研究経費によって導入した計算機を利用してこの結合モデルを数値解析することによって,左右揺動歩行ロボットが複数台の場合でも1台の場合と同じように動作のシミュレーションが可能になった.そこでは,複数の左右揺動歩行ロボットで基礎の揺れと歩行のリズムが揃い,左右揺動歩行ロボット同士の歩容が一致する同期現象が確認できた.実機実験においても前年度から着手していた装置およびロボットの数の拡張を目標まで達成し,複数の左右揺動歩行ロボットによる歩行実験を行うことができた.測定系も加速度計や複数のカメラによる計測器などの整備を行い,左右揺動歩行ロボットを吊られた床の上に乗せて歩行させることで左右の歩行運動が揃う同期現象を確認できた.これは従来研究では見られない新しい成果である.この実験結果は数値解析結果とよい一致を見せた. 次に,同期現象が発生する条件を明らかにするために,同期引き込みを呈する数理モデルに対して同期モードが遷移する分岐現象の解析を行った.前年度に提案した計算機を補助的に利用する厳密解法によって,アーノルドの舌と呼ばれる同期引き込み領域のヒステリシス構造を明らかにするなど,従来に成されていなかった解析的な結果を得ることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに左右揺動歩行ロボットを複数台用いた実験を遂行することができた.前年度に開発した左右揺動歩行ロボットは,両足先にソレノイドバルブという電子信号によって空気の流れを制御できる弁を搭載してエアーコンプレッサーで圧縮された空気を瞬時に排出することで地面を蹴る動作を実現しており.このシンプルな歩行を簡素な発振器結合モデルで説明することが出来た.これによって複数台の左右揺動歩行ロボットで歩容の同期が実現できて解析的な結果も得られたことは申請者が知る限り初めての成果であり,研究成果としては満足のいくものであると考える. 現象解析においても,前年度に提案した同期引き込み領域の解析に用いた手法は申請者らのオリジナルであり,それによって新しい分岐構造を明らかにしたことは価値が認められるものであると考える.以上より,申請研究はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
まず,導出した2次元非線形微分方程式で記述される振動子の結合モデルに対して,更に詳細に解析を行う.同期モードが遷移する分岐現象のメカニズムや発生するパラメータ条件を明らかにする.特に,実機実験のデータとの整合性に注意を払い,比較検討を繰り返しながら実物理系でみられる同期現象の発生メカニズムとその根底である分岐構造を明らかにすることを目標とする. また,左右揺動歩行ロボットによる大規模実験を継続して行い,パラメータの変化に対する位相変化などのこれまでに知られていない現象の基礎データを整える.また,今後への発展も考慮して,左右揺動歩行ロボットがロールする場合の平面動作に関する実験にも着手することを考えている.
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