研究課題/領域番号 |
22K12186
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
坪 泰宏 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (40384721)
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研究分担者 |
寺前 順之介 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (50384722)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 確率型情報処理 / 脳神経科学 / バイアス / 局所回路 |
研究開始時の研究の概要 |
脳神経系の低消費エネルギー性を模倣した実用化可能な動的確率情報処理システムを構築するためには,従来の確率型情報処理様式で取り込まれていなかった,時間に関する確率性や,システムの学習に関する確率性を取り込んだ,神経回路レベルの確率型数理モデルの構築が必要となる.本研究課題では,音楽ゲームを模したタッピング運動課題で得られるデータから構築する行動レベルの動的確率型数理モデルと,近年提案したシステムの学習が確率的である神経回路レベルの数理モデルを融合し,動的に拡張することにより,脳を模倣した動的確率情報処理の神経回路での実装様式の解明を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,脳神経系の低消費エネルギー特性を模倣し,実用化可能な形での新たな動的確率情報処理システムの構築を究極的な目標としている.この研究の主要な目的は、従来のモデルでは取り込まれていなかった時間に関する確率性や,学習に関する確率性を取り込んだ,神経回路レベルの確率型数理モデルを構築することである.2022年度は,音楽ゲームを模倣した提示位置に不規則性があるタッピング運動を利用した実験課題を通じて,参加者の行動データおよび脳活動データを収集した.このデータを基に,行動レベルでの確率型数理モデルの基盤を構築した.しかしこれらの実験結果から,提示位置の不規則性は,提示タイミングの不規則性に比べて行動レベルの不規則性には大きな影響を与えないことが明らかになった.この知見を踏まえ,2023年度の研究では人間の情報処理の不規則性をより顕在化する不規則性の導入を検討し,実験系の拡張を行った.そして,引き続き行動レベルでの動的確率型数理モデルに関して,標準的な状態空間モデルやベイズ型モデルを軸としてモデルの検討を進めた. 神経回路モデルを単純な離散時間2値型確率モデルからより現実的な連続時間確率型モデルへと拡張する研究も進めた.具体的には,離散時間2値型確率型モデルの連続時間への拡張への足がかりとして,2023年度にはこれまであまり議論されてこなかったシナプス伝達遅延に関連する学習則に着目し,これらを確率的に拡張する方法について検討するために,既存の研究について調査を行い,学習則に確率性を導入する方法について検討した.また,別の課題研究で大脳皮質神経細胞の活動データから示唆された確率型情報表現の微分不可能性に関して,本研究課題の観点から数理モデルの調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,2022年度の行動レベルの実験解析から提示位置の不規則性は提示タイミングの不規則性に比べて,行動レベルの不規則性に対して予想以上に影響が小さいことがわかったため,人間の情報処理の不規則性をより顕在化する不規則性の導入を検討した.2024年度は,この拡張した実験系に基づいて行動データと脳波データを取得し,数理モデル構築に繋げていく予定である.また,数理モデルの構築に関しては,離散時間2値型確率モデルを連続時間へ拡張することを目指して,神経細胞の状態とシナプス結合の状態の動的確率変化の表現形を模索し,とくにシナプス結合強度とシナプス伝達遅延の学習則に対して確率性を導入する可能性,及びこれらを統合する神経活動状態表現について検討している.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の2024年度は,人間の情報処理の不規則性をより顕在化する不規則性を導入した実験を行い,行動レベル,脳波レベルの計測実験・確率モデリングを行い,感覚知覚処理,内部リズム表現,運動生成処理の,各段階に関連する事象関連電位を探索する.また,神経回路レベルの数理モデルの構築に関しては,引き続き,離散時間2値型確率モデルを連続時間へ拡張することを目指して,シナプス結合強度とシナプス伝達遅延の学習則に対して確率性を導入し,これらを自然に表現できるような神経細胞の活動状態の表現形を検討していく方針である.
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