研究課題/領域番号 |
22K12212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61050:知能ロボティクス関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
萩原 良信 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (20609416)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 知識転移 / 記号創発ロボティクス / 生活支援ロボット / カテゴリゼーション / 生成モデル / ベイズ推論 / 転移学習 |
研究開始時の研究の概要 |
家庭環境は,未知の物体や場所の知識で溢れている.生活支援ロボットがこれらの知識をユーザとの限られたインタラクションの中から獲得するには,ロボット個体が得た観測のみならず,複数ロボットが獲得した知識も活用しながら学習する事が望ましい.本研究では,複数ロボットが獲得した観測から物体や場所の一般的な知識を形成し,この知識を効果的に用いた環境適応を実現する知識転移システムの基盤を創成する.これにより,多様なユーザや環境とのインタラクションに根ざした一般常識の形成と一般常識を効果的に用いた環境適応を可能とする自律的な転移学習システムの設計論の道が開かれる.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、複数ロボットが獲得した観測から物体や場所の一般的な知識を形成し,この知識を効果的に用いた環境適応を実現する知識転移システムの基盤を創成することである.このため,今年度は,研究代表者が提案した階層ベイズによる環境間における場所概念の転移学習モデルを基盤にロボット間で知識を転移する学習モジュールを開発した. 具体的には,クラウドサービス上で機能する汎化モジュールと各ロボット内部で機能する個体モジュールで構成される.汎化モジュールは,複数の個体モジュールから収集したマルチモーダル情報を観測として汎化された場所概念を形成し,これを事前知識(事前分布)として個体モジュールの学習に転移する.個体モジュールは,汎化モジュールから転移された事前知識(事前分布)を用いる事により,環境で得たマルチモーダル情報(観測)に基づいた適応的な場所概念獲得を可能とする.構築したモデルを用いて仮想環境における場所概念獲得の実験を実施し,ロボット間における知識転移によって新規の環境における場所分類精度が向上する事を明らかにした.また,関連する研究実績として,確率論理によって記述された常識的知識と現場環境で場所概念モデルにより学習した知識を融合する知識転移のモデルを構築した.これらの研究において,国際会議論文3件,国内学会発表6件,受賞3件の研究成果を得た.具体的には,IEEE SII2023において発表した論文がBest Paper Awardを受賞,言語処理学会第29回年次大会において発表した研究が若手奨励賞を受賞,RoboCup Japan Open 2022 @Home DSPL Technical Challengeにおいてロボットデモンストレーションを実施し優勝した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた,ロボット間における知識転移のモデルを構築し,仮想環境における評価実験において学習における有用性が確認された.この実験では,一台の計算機内に個体モジュールと汎化モジュールを構築し,疑似的にロボット間の知識転移システムを構築した.しかし,2023年度に実施予定の実世界での知識転移のデモンストレーションでは,汎化モジュールをクラウド上のシステムとして運用する必要がある.このクラウド上への実装は現在進めており,順調である.そのため,今年度は,おおむね順調に進展した.
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今後の研究の推進方策 |
開発した学習モジュールを実世界の複数ロボットにおいて実現する計算論モデルを構成する.複数のロボットの観測が集まる汎化モジュールにおいては,膨大な観測情報からの推論が必要になる.個体モジュールにおいても長期間の観測が蓄積されるため,同様に計算コストが増大する.このような問題を解決するため,まず,Free-Energy Principleに基づく能動学習の枠組みを導入する事で効果的に観測を得る方法を試みる.次に,研究代表者が若手研究において取り組んだ概念のプロトタイプ理論に基づき観測データを間引いて学習時間の低減を試みる.また,実世界の多様な物体と場所についての表現学習を実現するために,Nouveau VAEなどの深層生成モデルを用いた推論と予測を試みる.また,GPTなどの常識的な知識を扱う基盤モデルから現場環境の知識を扱う場所概念モデルへの知識転移についても検討する.
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