研究課題/領域番号 |
22K12235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
阿部 真人 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (60758027)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 神経ダイナミクス / 臨界現象 / ニューラルネットワーク / 脳 / ネットワーク科学 / 探索行動 / レヴィウォーク / 進化 / 神経科学 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含む生物の行動には、レヴィウォークとよばれる普遍的なパターンがみられる。しかし、ヒトがレヴィウォークを示す理由、およびレヴィウォークの脳神経メカニズムは明らかになっていない。本研究課題では、①ヒトにおけるレヴィウォークの機能的意義の数理モデルによる解析、②ヒトの仮想空間実験から得られるレヴィウォーク中の脳活動データの解析によるメカニズムの解析に取り組む。これらの2点からヒトの知性の一端と考えられるレヴィウォークの役割と神経基盤を解明する。
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研究実績の概要 |
脳のダイナミクスには、質的に異なる状態の境界(臨界点)で生じる臨界現象の性質が見られることが知られている。これは脳における臨界仮説とよばれ、神経細胞から構成されるシステムが質的に異なる状態の境界付近に調整されることで、情報への反応性の最大化、計算能力の向上、多様な神経活動レパートリーの創出、さらにLevy walkなどの行動パターンの生成など様々な機能を持つことが理論的に明らかになっている。臨界仮説において、どのようにしてパラメータ(ここでは神経間の結合強度)が臨界点付近の領域に調整されるかを明らかにすることは脳の臨界状態を理解する上で重要である。先行研究で明らかになっている仕組みの一つは自己組織化臨界現象である。これは結合強度が強すぎる場合は弱める方向に、弱すぎる場合は強化するようにフィードバックが働き、臨界状態に維持される現象である。しかし、このような自己組織化臨界現象の理論モデルは、単純なランダム結合の神経ネットワークを考慮することがほとんどで、現実に見られるような脳の複雑なネットワーク構造との関係は明らかになっていない。そこで、本研究課題では、自己組織化臨界現象がどのようなネットワーク構造によって頑健に創発するのかを解析した。脳のモデルとしてLIFのニューラルネットワークモデルを使い、神経発火のダイナミクスを再現するシミュレーションを実装し、神経間のつながり方として、ランダムネットワーク、スモールワールドネットワーク、スケールフリー性を持つネットワークといった理論モデルを用いた。神経のダイナミクスに基づくシナプス可塑性のルールを導入し、自己組織化臨界現象の創発、維持を数値計算によって求めた。結果として、長距離相互作用が存在することで安定的に自己組織化臨界状態が維持されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で着目している神経ダイナミクスにおける臨界現象とネットワーク構造の関係を明らかにでき、データ解析への示唆も得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、データ解析を進め、臨界現象と行動パターンの関係を明らかにしていく。
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