研究課題/領域番号 |
22K12237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
近藤 敏志 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (20821060)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 医用画像 / 画像認識 / ドメイン適応 |
研究開始時の研究の概要 |
医用画像から臓器や病変部を切り出すセグメンテーション技術は,機械学習モデルの訓練 に必要となる教師データの作成に多大なコストや時間がかかることが課題である.ある撮像手段や臓器を対象にした画像,教師データ,学習済モデルを,他の撮像手段や対象臓器に転用してこのコストを削減する試みがなされているが,このような方法はデータの秘匿性が求められる実臨床現場での運用に適さない.そこで本研究では,転用元の画像と教師データを用いない転用技術に関する理論を構築し,新たに構築するデータセットを用いた検証を通して,転用元の画像や教師データがなくても高い認識性能を実現する転用技術を確立することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,医用画像のセグメンテーションにおいて,教師データ作成の人的・時間的コストを削減でき,かつデータの秘匿性が求められる実臨床現場での運用に適した,「ソースデータなしドメイン適応技術」を確立することである.その中での当該年度の研究実施計画は,本研究の理論基盤を構築し基本方式を確立すること,そして5組程度のデータセットを用いてこの基本方式の有効性を確認すること,であった. 最新の研究動向を調査する中で,ソースデータなしドメイン適応技術を更に発展させた,ブラックボックス型ドメイン適応技術(以下,ブラックボックス型と略す)が,画像分類の分野で研究され始めていることを確認した.ブラックボックス型は,より実臨床現場での運用に適した方式であると考えられるため(理由は「現在までの進捗状況」に記載),初年度である当該年度においては,画像セグメンテーションに対してブラックボックス型を適用し,性能検証を実施することとした. 検証の結果,画像セグメンテーションに対して単純にブラックボックス型を適用した場合,ドメイン適応なしの場合と比較してあまりセグメンテーション性能が上がらないことを確認した.そこで,ブラックボックス型を適用する際に,深層学習モデルの重みパラメータを徐々に更新する方法を適用することを考案し,その結果,単純にブラックボックス型を適用する場合と比較して,セグメンテーション性能が向上することを確認した.またこの検証過程において,5組のドメイン適応検証用データセットを構築した.さらには,本検討内容をまとめて査読有り国際会議に投稿した(査読結果は未受領).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実施計画は,ソースデータなしドメイン適応技術の理論基盤を構築し基本方式を確立すること,そして5組程度のデータセットを用いてこの基本方式の有効性を確認することであった. 最新の研究動向を調査する中で,ソースデータなしドメイン適応技術を更に発展させた,ブラックボックス型ドメイン適応技術(以下,ブラックボックス型と略す)が,画像分類の分野で研究され始めていることを確認した.ブラックボックス型においては,ソースドメインにおける画像および教師データだけではなく,深層学習モデルの内部情報(ネットワークの構造や重みパラメータなど)にもアクセスしない制約を課す.これにより,ホワイトアタックと呼ばれる深層学習モデルへの攻撃に対して耐性を持たせることができ,より実臨床現場での運用に適した方式であると考えられる. そこで初年度である当該年度においては,画像セグメンテーションに対してブラックボックス型を適用し,性能検証を実施することに予定を変更した.検証の結果,画像セグメンテーションに対して単純にブラックボックス型を適用した場合,ドメイン適応なしの場合と比較してあまりセグメンテーション性能が上がらないことを確認した.そこで,ブラックボックス型を適用する際に,深層学習モデルの重みパラメータを徐々に更新する方法を適用することを考案し,その結果,単純にブラックボックス型を適用する場合と比較して,セグメンテーション性能が向上することを確認した.またこの検証過程において,5組のドメイン適応検証用データセットを構築した. 以上より,当初予定していた計画からは変更したが,基本方式を確立した上で,予定していたデータセット構築は完了したため,概ね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の全期間は3年間であり,その初年度が完了した段階である.2年目,3年目の予定は当初予定から大きな変更はない.具体的には,本研究課題の開始前に予備的に検討したソースデータなしドメイン適応方式,初年度に検討したブラックボックス型方式,の両者に対して,次のように研究を推進する. 2年目にはデータセットを拡充し,幅広い撮像手段や対象臓器に対しても性能を担保するように,ソースデータなしドメイン適応方式,ブラックボックス型方式の改良を行う.そして最終年度である3年目には,機能拡張として複数のソースドメインのモデルを活用する方法に関して研究を実施し,更に性能を高めることを狙う.これと並行し,それまでの結果を元に臨床研究先の探索を行い,本研究期間完了後の実臨床応用へと繋げる.
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