研究課題/領域番号 |
22K12244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
堀池 徳祐 静岡大学, グローバル共創科学部, 准教授 (20535306)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 長枝誘引 / 系統樹 / マルチプルアラインメント / シミュレーション / 分子系統樹 / 分子進化 / LBA |
研究開始時の研究の概要 |
DNA配列などを用いて系統解析を行う際、しばしば長枝誘引により2本の長い枝が近隣となるような系統樹が誤って得られることが大きな問題となっている。長枝に繋がる種を対象生物から除くことで防げるが、学術上重要な種は除けないため、対処法としては不十分である。従って、本研究は長枝誘引を起こす原因や特徴を完全に解明し、これまでになく確実な長枝誘引の判定法と解消法を提案することを目的とする。そのため、分子進化シミュレーションにより配列データを進化の時系列に沿って変化させ、長枝誘引が生じる瞬間を再現する独自の手法を新たに考案した。そして、得られる長枝誘引に関する知見を基に長枝誘引の判定法及び解消法を提案する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に開発した分子進化シミュレーションプログラムで特定の2本の配列のみ逐次的に進化させ(この2配列に繋がる枝が長枝となる)、各進化段階でマルチプルアラインメントや系統樹推定を行い、各種データを取得し、系統樹の樹形判定やその他の特徴量を抽出するためのプログラム群を作成した。方法の詳細を以下に示す。 1.配列の類似性評価: TAA(Total Alignment Accuracy, Ogdenら 2006)を元にして、マルチプルアラインメント後の各配列間における類似性評価のためのプログラムを作成した。ただし、TAAはマッチした領域以外は評価されないため、本研究の配列類似度はTAAを配列の平均長で割った値とした。 2.系統樹の樹形判別: 推定された系統樹の樹形を判別、カウントし、全体における各樹形の割合を算出するプログラムを作成した。本解析では複数の樹形パターンを持つ中で最もシンプルな「4配列での系統樹」を対象にした。したがって、取りうる樹形は3パターンである。 3.枝長データの獲得: 取得できるデータは変異を入れる2つの配列に繋がる「長枝」、変異が入らない2つの配列に繋がる「短枝」、系統樹の分岐点同士を繋ぐ「内部枝」の3つに分けて、それぞれ枝長を測定するプログラムを作成した。 分子進化シミュレーション及び以上のプログラム群を、マルチプルアラインメント(MAFFT, Clustal Omega, Probcons, DLPAlign)と系統樹推定法(最節約法、近隣結合法、最尤法)の組み合わせを変えつつ実行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は主に本研究推進のための基盤となるプログラム(系統樹推定の元となるアミノ酸配列に変異を加えた後にさらに変異を追加するプログラム)の作成を行った。このプログラムでは長枝に指定した枝の長さを一定の長さずつ伸ばした時のそれぞれの配列データが取得でき、それぞれの配列データを用いてマルチプルアラインメントや系統樹作成ができる。このプログラムにより、一つのオーソログデータをもとに作成されるマルチプルアラインメント、系統樹を時系列で観察するためのデータを作成できるようになった。 2023年度は2020年度に開発した分子進化シミュレーションプログラムで特定の2本の配列のみ逐次的に変異を加え(この2配列に繋がる枝が長枝となる)、各進化段階でマルチプルアラインメントや系統樹推定を行い、系統樹の樹形判定、各枝長や変異を追加した配列間の類似性を抽出するためのプログラム群を作成した。また、これらのプログラム群を統合して実行した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降はすでに作成した4OTU用のプログラムを拡張し、4以上の任意の数のOTUを持つモデル系統樹を用いて分子進化シミュレーションを行い、生成された配列を元にマルチプルアラインメントと系統樹作成を自動で行えるようにする。このプログラムを用いて、昨年度と同様に推定系統樹の樹形割合、枝長、変異を入れた配列間の類似性を算出する。また、一塩基ずつ変異を入れ、長枝誘引が起こる手前のマルチプルアラインメントの状態を特定し、その状態から一つ変異を加えたときの状態と比較するプログラムを作成する予定である。その後、作成した各プログラムによりシミュレーション、マルチプルアラインメント、系統樹推定を行い、樹形判別、各枝長、長枝間の類似性などのデータから長枝誘引の前後でマルチプルアラインメントにどのような特徴を持つ変化が起こったかを観察する。また、どの変異の種類が長枝誘引の原因となりやすいか、調査する。
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