研究課題/領域番号 |
22K12250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
土方 敦司 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (80415273)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | レアバリアント / 抗体医薬品 / タンパク質立体構造 / 抗原 / エピトープバリアント / タンパク質複合体 / 結合親和性 / 立体構造 / バイオインフォマティクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「個人ゲノムのレアバリアントはどのように表現型と結びついているのか?」の問いに対して、抗体医薬の標的タンパク質に生じたミスセンスレアバリアントと薬効との関係性に焦点を絞り、ミスセンスレアバリアントが抗体との結合親和性にもたらす変化を定量的に評価する手法の開発を目指す。 既知の抗体医薬品―標的タンパク質に関する分子構造、ゲノム情報及び生化学的情報を徹底的に収集して整理・統合したデータベースを作成し、機械学習によりミスセンスレアバリアントの結合親和性変化を予測しその精度を検証する。予測結果を踏まえ、標的タンパク質上のミスセンスレアバリアントと抗体医薬の薬効との関連性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ゲノム解析技術の普及によって、ゲノム医療など個人のゲノム配列解析に基づく治療法の選択などが可能となりつつある。しかし、個人ゲノムに見られるごく頻度の低いレアバリアントの意義については不明な点が多い。本研究は、「個人ゲノム上に見られるレアバリアントはどのように表現型と結びついているか?」の問いに対して、抗体医薬品の標的タンパク質に焦点を当て、標的タンパク質に生じたミスセンスレアバリアントがその薬効に対して、どのような影響を与えうるかを推定可能な手法の開発を目指すものである。 昨年度末の段階で、528種類の抗体医薬品に対して、55種類の抗体―標的タンパク質の複合体構造のデータを収集した。本年度は、立体構造が決定された抗体医薬品の種類も増加していることから、探索範囲を広げて立体構造データの収集を行った。その結果、204種類の抗体医薬品および、70種類の抗体―標的タンパク質の複合体構造のデータを追加し、合計732種類の抗体医薬品および125種類の抗体―標的タンパク質の複合体構造のデータを得た。さらに、gnomADおよびjMorpに登録されているミスセンスレアバリアントについて、これらの複合体立体構造上にマッピング可能なものを抽出した。その結果、7,152個のユニークなバリアントが複合体立体構造上にマップされ、そのうち766バリアント(約11%)が抗体―標的タンパク質のインターフェースにマップされた。これらのバリアントについて、結合親和性への影響を評価するために、タンパク質間の結合自由エネルギー変化について理論的な評価を行った。したところ、全体の65%のバリアントについては結合自由エネルギー差に大きな変化がないことがわかった。約30%のバリアントが不安定化すると予測された。安定化すると予測されたバリアントは約5%であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していたデータの拡充を行うことができたものの、それらの解析を十分に行うことができていないため、そのように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
収集したデータに基づき、ミスセンスバリアントの結合親和性への影響についての詳細な解析を行う。結合親和性を評価する手法はいくつか公開されているため、それらの方法によって各ミスセンスバリアントの影響を定量的な評価を行う。ミスセンスバリアントの頻度との関係についても解析を行う。これらの結果を組み合わせ、機械学習アルゴリズムを取り入れて結合親和性を予測する手法の開発を試みる。これらの解析を通して、結合親和性に影響を与えるミスセンスバリアントの特徴について明らかにする。
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