研究課題/領域番号 |
22K12279
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62020:ウェブ情報学およびサービス情報学関連
|
研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
伏見 卓恭 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 講師 (80755702)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | ハイパーグラフ / 埋め込み / 表現学習 / 動的ハイパーグラフ / 構造変化 / ネットワーク科学 / グラフ理論 / 中心性 |
研究開始時の研究の概要 |
技術の進展により,あらゆる障壁を気にすることなく,容易に多人数の協働が可能となっている.本研究の課題は,実世界における複数人の協働や複数商品の共購買などの多項関係の集合を効果的に表現できるハイパーグラフに対して,重要ノードを抽出する手法を確立することである.実世界で観測されるハイパーグラフは,各ハイパーエッジを構成する複数のノードが一様かつ均一に機能するわけではないため,各ノードが協働グループ(ハイパーエッジ)に対して果たす役割や貢献度を同定,定量化することは重要であり,それらの手法を確立することを目的とする.そして,協働グループとしての指標値が高くなるようなノード群を発見することを試みる.
|
研究実績の概要 |
当該研究課題の対象であるハイパーグラフは,共著関係などの複数人のコラボレーションを効果的に表現したデータ構造であり,近年ハイパーグラフを対象とした研究は増加傾向にある.当該年度は,ハイパーグラフに対する効率的かつ効果的な表現学習(埋め込みベクトルの獲得)に主眼を置き研究を遂行してきた. その成果として,国内の研究会にて「リンク予測タスクに基づくハイパーグラフ埋め込み手法の比較」というタイトルで発表を行った.この論文では,機械学習の分野で多く取り上げられるリンク予測タスクで損失関数として用いられるバイナリクロスエントロピーに着目し,この損失関数を最小化する観点からハイパーグラフの埋め込みベクトルを学習する手法を確立した.評価実験では,グラフ距離と埋め込み後のユークリッド距離を可能な限り近づけるSpringForce法,ラプラシアン固有写像法と提案手法の特徴を比較し,提案手法の有効性を確認した. 加えて,国際会議に併設するワークショップにて「Visualization and Extraction of Important Structural Changes via Dynamic Hypergraph Embedding」というタイトルで発表を行った.この論文では,時々刻々と構造が変化する動的ハイパーグラフの構造変化を視覚的に捉えやすくする埋め込み手法を提案した.具体的には,ハイパーノードとハイパーエッジを隣接度に基づいて単位超球に埋め込む手法によりノードの位置を算出し,構造変化前後の埋め込みベクトルの角度からノードへの影響度を算出する.複数の人工データを使用した実験的評価に基づいて,提案手法の有効性を示した. このように,ハイパーグラフの表現学習における基本的な技術を確立した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度では,ハイパーグラフの構造から,帰無モデルにおけるノード間の関係の強さと対比させた際の実際の関係の強さを定量化し,それに基づきハイパーグラフを単位超球上に埋め込む手法を確立した.さらに,静的なハイパーグラフだけでなく,時々刻々と構造が変化する動的ハイパーグラフをそのタイムステップを半径とした超球上に埋め込む手法の開発まで踏み込むことができた.したがって,当初の予定より進展していると言える. 一方で,機能や役割を加味した埋め込みベクトル表現は実現できていない.
|
今後の研究の推進方策 |
初年度では,静的なハイパーグラフの埋め込み表現の獲得に加えて,動的ハイパーグラフに対する埋め込み手法の基本的な技術を確立できた.一方で,機能や役割を加味したベクトル表現は実現できていない.したがって,2年目では早急にこれらの実現に着手する必要がある.具体的には,オンライン上の知識共有サイトにおける質問に対する複数人の回答や議論に関するテキスト,コミュニケーションコーパスなどを用いて,答えというゴールを目指して複数人の貢献する環境下でのデータから各人の役割および貢献度を算出する予定である.
|