研究課題/領域番号 |
22K12290
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
伊東 幸宏 静岡大学, 情報学部, 名誉教授 (20193526)
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研究分担者 |
小西 達裕 静岡大学, 情報学部, 教授 (30234800)
山下 浩一 常葉大学, 経営学部, 教授 (30340110)
小暮 悟 静岡大学, 情報学部, 教授 (40359758)
野口 靖浩 静岡大学, 情報学部, 准教授 (50536919)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | プログラム挙動可視化 / オンライン教育 / プログラミン教育 / 教材開発 / プログラミング演習支援システム / オンライン演習支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではオンラインプログラミング演習で生じる問題点のいくつかをプログラム挙動可視化システムTEDViTを拡張して解決する。 (a)オンライン演習における教師と学習者の質疑応答のターン数を低減するため、TEDViT上で再現されたプログラムの挙動にメッセージを書き込むことで対話を行える学習環境を構築 (b) TEDViTの可視化ルールを学習者に編集させ、教材を作らせることを通じてLearning by Teaching 型演習を行う学習環境を構築 (c)これらを活用した演習の実践及び評価 (d)これらを活用した演習のための教材ライブラリの構築と公開
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研究実績の概要 |
研究代表者らは先行研究でプログラム挙動可視化システムTEDViT(Teacher's Explaining Design Visualization Tool)を開発し、複数の教育実践を行っている。類例システムにないTEDViTの特長として、挙動の「見せ方」を教師がルール(本研究では可視化ルールと呼ぶ)の記述によってカスタマイズできる。近年のCovid-19流行に伴って教育現場に劇的変化が生じ、多くの教育機関でプログラミング演習のオンライン開講を余儀なくされる ようになった。一般に演習をオンライン化するには種々の工夫が必要だが、我々のこれまでの研究ではオンライン演習は対象になっていない。そこで本研究ではオンラインプログラミング演習で生じる問題点のいくつかをこのTEDViTを拡張して解決する。 令和5年度は、これまでに開発したシステムの教育実践への導入とその評価を中心に検討した。特に研究分担者の担当授業を中心に、実授業(プログラミング演習)のオンライン授業にこれを導入することを試みた。以下に掲載する雑誌論文2.では、ステップ毎にプログラムの挙動を可視化する機能を持つシステムをプログラミング演習に導入し、その学習効果について評価し、肯定的な結果を得ている(国際学会ICCEにて査読付き論文として発表)。雑誌論文3.では、対面で行う演習とオンデマンドで行う演習のそれぞれについて、学習者のプログラミングの行き詰まりを検出する機構を導入し、学習効果および学習者を指導する教員やティーチングアシスタントからみた有効性の評価を行い、肯定的な結果を得ている(国際学会AIEDにて査読付き論文として発表)。学会発表2(査読なし)は雑誌論文3.のための基礎的検討である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初の研究計画において令和5年度は「開発した各機能を持つシステムの教育実践への導入:研究分担者の担当授業を中心に、実授業のオンライン演習にこれを導入する」という期間にあたっている。我々はこのことに対応して、上の「研究実績の概要」欄で述べた通り、いくつかのプログラミング演習系授業に対して本研究で開発したシステムを導入し、その効果などを評価するという成果を挙げている。またその成果は学習教育支援システム・教育工学分野における著名な国際学会であるICCE(International Conference on Computers in Education)[雑誌論文2.]およびAIED(Artificial Intelligence in Education) [雑誌論文3.]にて査読付き論文として採択されており、国際的にも高い評価を受けているといえる。これらの成果を挙げる過程で、研究代表者と研究分担者の協力関係は十分に機能しており、これは上記の発表論文において代表者と分担者の連名での発表が多く行われていることからも伺える。 以上の成果は当初予定していた成果の水準を十分満たすものではあるが、予想を大きく上回るような画期的な技術上の提案や想定以上に極めて高い有効性の実証を行えたとまでは言い難い。よって総合的には現在までの進捗状況を「(2)おおむね順調に進展している」と評価するのが妥当であろうと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度においては、当初の予定通り令和5年度から引き続いて「開発した各機能を持つシステムの教育実践への導入:研究分担者の担当授業を中心に、 実授業のオンライン演習にこれを導入する」(「」内申請時研究計画調書より)を行うとともに、「上記の枠組みでの授業実践及び評価と普及:実践した授業に関して1年単位でPDCAサイクルを実行する。その過程で必要に応じてシステムの機能拡張を行う。」(「」内同上)ことを進める。前年度の評価の中でシステムの機能拡張のための着想は得られており、これを実現することでPDCAサイクルを回すことができる。また構築した教材は適宜公開し、提案手法の普及展開に努める。得られた成果は内外の学習教育支援システム・教育工学分野の学会にて積極的に発表し、当該分野の発展に貢献する。本研究は令和6年度が最終年度であるため、研究期間中の成果を集約して冊子もしくは電子データとしての公開を行う。また論文や構築した教材データなどのオープンアクセス化に取り組むなど、情報公開に努めることとする。
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