研究課題/領域番号 |
22K12296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
芳賀 瑛 東京大学, 大学総合教育研究センター, 特任助教 (50738672)
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研究分担者 |
山下 勝 法政大学, 理工学部, 教授 (30849758)
三木 洋一郎 九州大学, 基幹教育院, 教授 (80262476)
森田 進治 法政大学, 航空工学部, 教授 (80789032)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | フライトシミュレーション / 技能教育 / AI / VR / パイロット / 機械学習 / Virtual Reality |
研究開始時の研究の概要 |
パイロットの操縦技能、ブリーフィングによる内省・技能改善能力を含めた包括的能力の向上を支援するシステムの開発を目指す.初年度は既に開発した航空技能評価システムとディスカッション評価システムの改良を行う.前者については基本飛行課題の全てを評価出来るよう改良し.後者については、実際の指導現場における観察を通じて、ブリーフィングによる技能向上の成否要因について特定する.次年度では、初年度の結果を基に、討議を含めた訓練生の包括的能力を評価するAIの開発を行う.また、AIから得られた評価を効果的にフィードバックする支援システムの開発を行う.最終年度では開発したシステムを実運用し、精度の向上を図る.
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研究実績の概要 |
本研究ではパイロットの操縦技能及びブリーフィングによる内省・技能改善能力を含めた包括的能力の向上を支援するシステムの開発を目的とする。2023年度には、特に高度な技能が要求されるパイロットの離着陸時のパフォーマンス評価を可能とすべく、航空技能評価システムの改良を行い、データの収集を行った。これまでスティープターンのみを対象としていた評価範囲を基本飛行課題の全てに拡大し、シミュレーション実施時のデータ蓄積を進めることで、より全面的な技能評価を可能にした。 ブリーフィング時のディスカッション評価システムに関しては、初期の技術的課題から、ディスカッション全体の質を評価するシステムの開発に一定の限界があることが明らかになった。このため、近年のAI技術の進展を活用し、ChatGPTを用いたプロトタイプシステムの開発を進めることにした。このシステムは、ディスカッションの文字起こしデータを基に、訓練生の「気づき」や「改善策の検討」などの発言を抽出し、フィードバックを提供する。フィードバックの提供プロセスについては、初期のAIが単独で行う評点方式を見直し、人間の評価者とAIの相互作用による学習プロセスに焦点を当てた。 研究の進行中、シミュレーション中の直接的な技能へのフィードバックが訓練の効率化に影響する可能性が示されたことから、即時フィードバックについても重点を置くよう改善を進めている。これらの改善は、パイロットの技能向上と内省の促進を更に支援することを目指している。 技術的な課題解決には時間を要しているが、外部アドバイザーの追加や評点方式の効率化など、適切な対応策を講じて問題を解決し、今後も継続的な研究を遂行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進行において、ディスカッション評価システムの改良が課題であり、ディスカッション全体の質を評価するシステムの開発に一定の限界があることが明らかになったことから、ChatGPTを使用した新たなプロトタイプシステムの開発に方向転換し、ディスカッションのより詳細な分析を目指している。 さらに、技能評価システムについても、パイロットの最も技能が要求される離着陸時のパフォーマンス評価を可能にするための改良を行い、これによりシステムの総合的な評価能力を高める必要があった。これらの改良に予定よりも時間を要し、その結果、研究の進捗に若干の遅れが生じている。 これらの課題を解決するために、システムの改良とデータの精度向上に向けた作業を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度に向けての研究進行計画は、航空技能評価システムの機能強化と新たな評価方法の導入に加えて、AI技術を利用したパフォーマンスの予測分析とリアルタイムフィードバックの提供に焦点を当てる。具体的には、収集された飛行データからパイロットのパフォーマンスパターンを予測分析することで、将来的な訓練ニーズや改善点を特定する。 また、ディスカッション評価システムと連動して、即時フィードバック機能についても検討する。音声認識技術とAIを組み合わせた解析ツールを用いて、トレーニングセッション中にパイロットが直接的なフィードバックを受け取れるようにする。パイロットの反応や決定に対してリアルタイムで具体的な指摘やアドバイスを提供し、トレーニングの質を向上させることが期待される。
技術的な問題の解決には外部の専門家との連携を強化し、新たな技術や方法論を研究に取り入れる。これらの計画を実施することで、パイロットの操縦技能の全面的な向上を図りつつ、内省・技能改善能力を高めるための効果的な教育支援システムの実現に向けて、着実な進展を達成していく予定である。
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