研究課題/領域番号 |
22K12301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
遠藤 拓 日本大学, 工学部, 教授 (60307808)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 学習支援システム / 学生実験 / 学習管理システム / 遠隔学習 / 持続可能 / 失敗事例からの学び / シュミットのスキーマ理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、運動の技術習得におけるシュミットのスキーマ理論を学生実験科目に適用して、コロナ禍においても持続可能な学生実験の授業を実現することを目的とした。シュミットは運動技術の習得には、動作の言語化する「認知段階」、訓練などによる動作を統合する「連合段階」、無意識化での技術遂行可能な状態になる「自動化段階」という3つの段階があるとした。学生に各種実験を遂行するのに必要な技術や知識を認知させるために、過去の失敗事例を使う。その後、幾つかの課題実験を通じて訓練を行い、最終的には、学生自身が自主的に必要となる実験を計画し、その測定・評価が出来るようにICTを活用して教育効果を高めていく。
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研究実績の概要 |
新型コロナ感染症拡大により、教育のICT化が急激にすすみ、コロナ後の教材は、動画などよりリッチで深い知識が得られるようなものとなった。しかし、実際に手を動かして技術を修得する実験・実習系の授業は30年前以上から改革が進んでいないのが現状である。申請者は20年ほど前に学習管理システムを立ち上げ、学生の成果物である報告書(レポート)を電子化し、採点もタブレットPCで行えるようにした。これにより、レポートの保管と提出状況などの管理が漏れなく行われるようになった。また、情報へのアクセスが容易になったことにより学修成果分析が行われ、学生の得手不得手が分かるようになった。 しかし、全てを遠隔で行い技術習得させるには、まだ不十分であった。電気回路図から機器を使っての配線は何度も実際に配線をすることで技術習得がなされるものであり、動画で見て配線できるようになるかは不明である。 本研究では運動における技術習得の理論である「シュミットのスキーマ理論」を学生実験の配線試験に適用した。シュミットのスキーマ理論によると運動を修得するには、動きの理論知識を習得する「認知段階」、言語化された動きを実際に動かすことにより自分のもとする「連合段階」、訓練を繰り返し無意識に動ける「自動化段階」の3段階があるとしている。配線試験に当てはめ、機器の名称や役割が分かる「認知段階」、回路図から結線を読み解く「連合段階」、他の回路図でも結線ができるようになる「自動化段階」とした。まず認知段階の理解度を測るテストの手法を考えるにあたり、配線に於いて、学生がどのようなミス(誤解)をするのかの情報収集から行った。具体的には実験を担当する教員一人ひとりがタブレットを持ち、間違った配線の写真を撮り貯めた。これにより、ミスの分類が出来るようになった。これをもとに配線試験の遠隔化に取り掛かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遠隔でも行える配線試験の認知段階の確認として電子回路の素子記号に当てはまる正しい機器の写真を選ばせることとした。次の連合段階の確認としては、先に選んだ機器を接続できるかで理解度を測ることとした。最後の自動化段階の確認として、複数の回路や別の結線の仕方でも解けるか類似問題を解くことで確認することとした。 実際に試験問題を作成すると、写真の大きさや配置場所、また、選択肢が多いため一度の画面で見ることが出来ない、といったユーザーインターフェース(UI)の工夫が必要であった。この解決のために複数回の変更・改良を行った。そのため、この段階で当初の予定よりも使いやすくなったが、多くの時間を使ってしまい、計画に遅れが生じてしまった。連合段階の結線の確認方法として、当初は結線をタブレットで手書きすることを考えたが、このシステムを導入するには予算と時間が不足していた。そのため、代替案を考えた。結線において、分岐は多種多様な結線の仕方がある。これをコンピュータで判断するのは困難である。そこで、回路図において素子間の接続を1つに限定し、他の結線は類似問題として、ランダムに出題し、答えの暗記を防ぐこととした。類似問題は自動化段階で同じ問題の複数回の実施よりも類似問題も織り交ぜることにより、理解していないのに正解となる状態を減らすことが出来るようになることを予想している。このような仕様変更に伴い、これらを実施するには予算と期間が不足してしまい、これらを全て次年度へ持ち越しすることとした。
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今後の研究の推進方策 |
シュミットのスキーマ理論の3つの段階の内、「認知段階」と「連合段階」の確認のためのテストを実施する手法を提案し、システムの構築を始めた。しかし、最後の「自動化段階」においては、全く手を付けられなかった。認知段階の確認テストとして、回路記号から適切な機器の写真を選ばせているが、回路における機器の数が多いこと、写真を表示することで、画面の多くのスペースを使ってしまい、使わない機器の写真も載せておくなどの暗記による正解を防ぐ方策が取れなかった。なお、連合段階では、使わない端子も含め選択肢として選べるため、端子の意味(INPUTやOUTPUT、+、-など)が分かっていないと解けない。これにより学生の連合状態の理解度を正しく測ることができている。無理解での偶然の正答を防ぐために類似問題をランダムに出題することを考えた。しかし、この改良により、予算をオーバーすることが判明し、次年度へ繰り越すこととした。 今後としては、遠隔での配線試験では類似問題をランダムに出題できるようにシステムを改良することを第一優先とする。ランダムで出題できるほど、類似問題を作ることができれば、事前の学修として、期間を設け練習させ、認知段階、連合段階の確認とともに自動化段階への練習として使えると考えた。従って、今後の研究の第二優先は試験前に学生が練習できる環境を提供できるようにシステムを改良する予定である。
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