研究課題/領域番号 |
22K12304
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
越智 洋司 近畿大学, 情報学部, 准教授 (80314847)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 動画視聴分析 / スキル抽出 / 学習行動解析 / コンピテンシー / 時系列データ / ソーシャルポートフォリオ |
研究開始時の研究の概要 |
従来の成績表では表現できない学生の学びを対象とし、学習評価に対する現状の授業の持つ課題を明らかにし、それを解決し評価できる枠組みの実現を目指している。 具体的には、「時系列的に取得された学習行動から学習者の学びの検出を行うための教育情報工学の技術開発」であり、授業だけでなく、学内や自宅などでの学習者の行動ログを記録する手法を提案と、多様な学びの評価に繋がる学習行動を検出する時系列データ解析処理を対象とする。そのため、IoTデバイスの活用等、新しい要素技術の開発とそれを実装した応用システムの実験的評価により、その有用性を明らかにすることを目指している。
|
研究実績の概要 |
- 多様な学習スタイルを支援するため、「オンデマンド型」講義の学習行動ログの分析に取り組んだ。この研究では、課題の提出や動画視聴のパターンから、学習評価につながる重要な指標を抽出するために機械学習の技術を活用した。分析結果は、2023年10月の国際会議GCCEおよび8月の教育システム情報学会全国大会、12月の教育工学会研究会で発表した。 - 身体動作の精密な分析を目指し、器械体操の選手に焦点を当てた身体動作検出の研究を進めた。特に、身体部位の誤検出を抑えるために時系列分析を利用した新たな処理方法を開発し、その成果を2024年2月のJSiSE学生研究発表会で発表し、優秀発表賞を獲得した。 - 科目間の知識伝達と学習プロセスの可視化に注目し、大学のシラバスデータを用いて科目知識の3Dモデルを作成し、その関係性を示す研究を行った。このプロトタイプシステムの開発と検討を進め、2023年9月に開催されたオープンキャンパスにて一般公開し、試用とアンケート調査を行った。その成果を踏まえて、2023年12月に教育工学会研究会で発表した。 - 学習行動の詳細な追跡のため、IoTデバイスとして視線追跡センサーを導入し、ゲームプレイ中の視線データを利用して、ゲームオーバーに至る行動パターンの時系列分析を行う研究を開始した。この研究の初期段階の成果を2024年2月にJSiSE学生研究発表会で発表した。 - M5Stackを活用した学習行動収集プラットフォームを学内で運用を開始し、実際のデータ取得の試みが行われた。この取り組みにより、実環境での学習行動の収集と分析の基盤が築かれた。本研究の成果は、2023年8月の教育システム情報学会全国大会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
-M5Stackを用いた学習行動収集プラットフォームでのデータが不足しており、データ検証が遅れている。この問題は、運用の計測を増やすことで解決を図る予定である。 -視線追跡センサーを用いた視線データ収集が遅れているが、ベースとなるシステムは完成しているため、試用を通じてデータ収集を進めていく計画である。 -学習行動の収集結果を活用するソーシャルポートフォリオの開発に遅れが生じている。この遅れを解消するための具体的なステップを計画中である。
これらの進捗に関する遅れの要因が明らかになっているが、遅れを取り戻すための具体的な方法に目処が立っており、これらの取り組みが今後の研究成果として報告される予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
1. 動画視聴に関して、新たに取得したデータを使用して、昨年度に開発された解析システムを利用し、動画からのコンピテンシー推定のモデル検証を行う。このプロセスでは、時系列データの分析を通じて、学習行動のパターンを把握し、モデルの精度を高めていく。 2. 視線追跡については、ゲームプレイ中の視線データと操作履歴を組み合わせ、ゲームオーバーに至る要因を推定するモデルの実装と検証を進める。この研究は、リアルタイムでの反応と意思決定プロセスを解析することを目的としている。 3. 器械体操動作に関しては、選手の動作の評価と差異を検出する手法を実装し、試用を通じてモデルの評価を行う。この手法は、体操技術の微細な差異を正確に捉えることが可能である。 4. 科目学習プロセスに関しては、講義内容と学習者の課題提出行動をリンクさせた可視化システムを実装する。このシステムは、科目間の知識移転や学習進行度を明確に示すことができる。 これらの研究テーマは、機械学習のモジュール化を意識しつつ進められ、様々な領域やシステムへの応用が可能な形で展開される。また、研究成果は国内学会や国際会議だけでなく、学会誌への投稿も予定しており、開発したシステムのコードやモジュールの一部はインターネット上で公開することも検討している。
|