研究課題/領域番号 |
22K12332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
三武 裕玄 明治大学, 総合数理学部, 専任准教授 (30613939)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 動作生成 / キャラクタアニメーション / 感覚運動協応 / 躍度最小軌道 / 自律エージェント / 感覚運動供応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では運動に必要となる情報(対象物の位置等)を得るために感覚器の運動が生じるなど、認知機能と運動機能が相互作用する現象である「感覚運動供応」に着目し、感覚運動協応およびそのメカニズムである感覚・記憶・予測・運動の相互作用を、手作りのアニメーションのための仕組みの基盤とし、キャラクタの性格・感情の表現に応用する。 そのためにおもに以下の3点に分けて研究を行う。 A. 感覚・記憶・予測・運動の相互作用を再現した動作・行動生成モデルの構築 B. 動作・行動生成モデルの可視化、および動作の例示や直接調整によるデザイン手法 C. 提案手法を用いてキャラクタエージェントを創作するワークフローの確立
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研究実績の概要 |
本年度は主に2点の研究を行った。一点目は、動作の失敗と修正の様子を自動生成する機構である。人が環境中で行動する際、動作対象となる環境中の物体の位置・状態などの情報は感覚器からの情報と過去の感覚情報の記憶によると考えられる。感覚情報は取得にコストがかかり、記憶は不正確さを伴う。そのため、感覚器を動かさずに記憶に頼って行動しようとして失敗し、視線を向ける・触探索を行うなど感覚情報を更新する行動を起こしてから再度行動を試行するという、動作の修正が起きることがある。本研究では感覚運動協応に基づくリアリティのある動作としてこのような様子の再現を目指している。本年度は、感覚・確信度付きの記憶・記憶からの感覚予測・本来の行動手順を記述する行動モデルから成る仕組みを構成した。特に行動手順の記述として、行動をサブタスクに分解して木構造とするビヘイビアツリーを用いた。これにより、失敗した際にどこから再試行すればよいかを記述しやすくなると考えられる。二点目は、モーションキャプチャデータを複数のサブ動作に分解する手法である。本研究の手法を様々な動作に適用するには様々な行動パターンの記述が必要となる。これらは実際の人間の行動から取得できると考えられる。モーションキャプチャにより人の動作を取得したのち、環境中の物体への操作の列に変換する必要がある。本研究ではモーションキャプチャデータに対して躍度最小軌道をフィッティングすることにより、少数の到達目標の時系列に変換する手法を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感覚運動協応の基盤となる感覚・記憶・行動決定・修正の仕組みを、簡易的なものではあるが実現することができた。また、様々な動作に対して手法の適用と検証を行うための基盤としてモーションキャプチャデータを少数の行動手順に変換する手法も実現することもできた。これらを用いて次段階の研究を遂行することができる状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、様々な人の行動をモーションキャプチャし、それぞれに対してビヘイビアツリーと記憶・感覚予測からなる感覚運動協応のアーキテクチャを適用しどのような行動バリエーションが生成されるかを検証していく。同時に、実際の人の行動のバリエーションを生成できるようアーキテクチャ自体の改善も行う。特に行動失敗時にどの記憶情報が失敗の原因かを確率的に推定し確信度を低下させる手法は、その後の感覚行動の決定につながり、修正行動のリアリティを左右するため、現実の人間の動作に基づいてパラメータの最適化を行うことも試みたい。
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