研究課題/領域番号 |
22K12334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石井 達郎 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (10363392)
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研究分担者 |
妹尾 武治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40546181)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | デジタルアーカイブ / スキャン手法 / マルチ投影 / ドーム投影 / 提示空間再現 / 展示映像 / 提示空間の再現 / 没入型映像提示 |
研究開始時の研究の概要 |
「展示映像」とは、博覧会や展示会等のイベントや博物館、テーマパーク等のために制作上映された特殊な映像の総称である。展示映像はその特殊な提示空間は廃棄されフィルムやスライドといった映像素材のみ散在している状況である。本研究は展示映像および提示空間に関する資料廃棄・散逸を防ぎ、後年の研究資料として、映像遺産としてアーカイブし当時の状況を再現することを目的としている。既に収集している展示映像素材のデジタル化、提示空間に関する調査及びデジタル復元を行い、視覚心理学からのアプローチも含めた小規模実験から科学館のドームシアターを用いた大規模実験まで行い、展示映像における提示空間再現の効果について検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、展示映像および提示空間に関する資料廃棄・散逸を防ぎ、、後年の研究資料、映像遺産として残すために、コンテンツ(フィルム&デジタル、音声)、空間デザインなどを総合的にアーカイブし、失われた空間をCG等で復元し、映像素材と融合させ、当時の提示空間そのものを「再現」することを目的としている。令和4年度は、再現する提示空間に用いられていたフィルムやテープといった、当時実際に使用されていたアナログ素材を中心にデジタル化するための作業を中心に行った。まずは『鉄と稲』つくば科学万博(1985)歴史館(パビリオン)上映作品におけるスライド原版ならびに上映プリントのデジタル化を行った。当該パビリオンにおけるスライドは、80を超える多面スクリーンに、合計1000枚程度のスライド投影を行っていた。また汎用の35mmスライドだけでなく、40mmスクエアの127スライドも用いられ、さらにマスキングやグラデーションを施すための2枚重ねのスライドもあることが判明した。さらに2枚重ねスライドが密着し剥離が不能な状態を確認したり、スライドマウントのガラス版の汚れをクリーニングするなど、スキャン以前に保存状態を確認、可能な限りクリアにする必要があった。スキャンに関しても、127サイズのマウントをスキャンするためのホルダを制作するなど行った。展示館関連のスライドのデジタルアーカイブに関する研究はないため、かなりの作業時間は要してしまったが、こうした事前調査やスキャンに関する技法を検証、確認することは本研究において重要な要素である。進行状況としては、『鉄と稲』は600枚程度のスキャンを終了している。また同時に大牟田市石炭産業科学館における3面マルチ投影のスライド650枚程度すべてをスキャン完了した。提示に関しては、福岡市科学館の学芸員とドーム投影を行うための詳細について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『鉄と稲』つくば科学万博(1985)歴史館(パビリオン)上映作品におけるスライド原版ならびに上映プリントのデジタル化において、事前のスライドのフィルムやマウントの保存状態を調査した際、汎用の35mmスライドだけでなく、40mmスクエアの127スライドも用いられ、さらにマスキングやグラデーションを施すための2枚重ねのスライドもあることが判明した。さらに2枚重ねスライドが密着し剥離が不能な状態を確認したり、スライドマウントのガラス版の汚れをクリーニングするなど、スキャン以前に保存状態を確認、可能な限りクリアにする必要があったため、相当の時間を要した。こうした事前調査やスキャンに関する技法を検証、確認することは本研究において重要な要素であり、今後のアーカイブ作業を円滑に進めるための参考となった。 また、本研究は、2021年に設立し応募者もメンバーである展示映像総合アーカイブセンターと協力、連携し、展示映像に関する調査収集保存を中心にその資料を用いた様々なフォーマット、提示空間の再現について検討しているが、アーカイブセンターが収集してきた、展示館などで使用された、動画である16㎜フィルムや35㎜フィルムを高精細4k解像度でスキャン可能な装置を導入したため、今後の動画フィルムのスキャン作業の効率性が飛躍的に向上することが見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スキャンしたスライドや動画データを用いて、それらの制作者や展示関係者への調査、展示空間の設計図等を用いた、当時の提示空間のCG復元を中心に進めていく。現在、北海道博物館(旧:北海道開拓記念館)や、つくば万博の制作関係者への当時の展示状況の調査を行っており、今後は現地調査を含めた、空間再現に向けた詳細なデータ採取を行う。残存している施設、設備に対しては、11K高解像360度VRカメラやフォトグラメトリを用いたデータ採取を行う。これらデータ採取の機器類は既に応募者が所有している。 またCG復元した空間とデジタル化した映像素材の合成、全天周(ドーム)スクリーン、全周スクリーン、HMD(VR)、立体映像と複数の提示技法への適用について検討している。 現在、「渋沢栄一物語」の、平面スクリーンを用いたマルチ映像提示テストを行っている。最終的な提示実験の場、福岡市科学館ドームシアターは高精細4K映像を投影できる設備を有している為、本学での実験も同等の解像度に準拠した提示システムを構築する。
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