研究課題/領域番号 |
22K12342
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
増田 良帆 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 特任研究員 (40421911)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 植物プランクトン / 北極海 / 一次生産 / SCM / 馴化 / 海洋大循環モデル / 環境適応 |
研究開始時の研究の概要 |
北極海は地球の全ての海域の中で気候変動の影響が最も早く現れ、最も顕著な影響をうける海域である。北極海では海氷の急速な減少が生じており、それに伴って海洋の環境が急激に変化している。気候変動によって海洋の食物連鎖の起点である植物プランクトンの生物量が変化すると、その影響は魚類等の上位捕食者に及ぶ。我々の研究では産業革命前から現在までの海洋環境の変化が植物プランクトンに与えた影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
昨年度に共同研究者から、モデルと観測データとの比較をもっと充実させた方が良いという指摘を受けたので、今年度は海洋研究開発機構の北極環境変動総合研究センターの研究者から北極観測航海で得られたデータを提供して頂いた。チュクチ海、ボフォート海の海氷が無い海域において、我々は観測で得られた一次生産の鉛直分布とクロロフィルの鉛直分布の関係を我々が開発した海洋生態系モデル(FlexPFT-3D)のシミュレーション結果と比較した。この海域において、クロロフィル濃度が最大となる深度(SCM深度)は0m~70mの範囲を取り、モデルはこの範囲をよく再現している。観測で一次生産が最大となる深度は、モデルにおけるのと同様に、SCM深度より浅くなる。もし、従来研究で考えられていたように表層栄養塩枯渇によって、SCMが形成され、SCMの周囲で強い一次生産が生じるというケースのみが現実海洋で生じているなら、一次生産最大深度とSCM深度は比較的近くなるはずである。実際には、観測は一次生産最大深度がSCM深度より顕著に浅くなるケースがしばしば存在することを示しており、光馴化による鉛直方向の細胞内クロロフィル含有量の変化が、他の海域と同様に北極海でもSCM形成に重要なメカニズムであると考えられる。 モデルの開発も並行して進めており、気象研究所で開発された海洋大循環モデルMRI.comと結合したFlexPFT-3Dに加えて、海洋研究開発機構で開発された海洋大循環モデル(地球システムモデルMIROCの海洋部分)ともFlexPFT-3Dを結合することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既にMRI.comと結合した海洋生態系モデルで計算された北極海のシミュレーション結果は北海道大学のサーバに格納されていたが、2022年度の後半にサーバーが故障するという問題が生じた。当初は2023年度予算で故障の修理を行うことを計画していたが、事務手続きに時間を要している間にサーバーの故障が復旧不可能なレベルまで進行してしまい、サーバーを廃棄せざるを得なくなった。事前に本当に重要なデータはハードディスクにバックアップをとっていた為に致命的な事態にはならなかったが、このトラブルの対処にかなりの時間を要したのが進捗を遅らせた主な原因である。 一方、本研究実施者の北大から海洋研究開発機構への異動に伴うFlexPFT-3Dの実行環境の整備は順調に進行した。海洋研究開発機構の大型計算機(地球シミュレータ)上で問題なくFlexPFT-3Dの計算が出来るようになっている。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究では北極海の海氷下にも高濃度のクロロフィルが存在して一次生産が生じており、特に海氷上に融解水の層(メルトポンド)が存在している時に活発な一次生産が生じていることが分かっている。これはメルトポンドが存在すると、海氷表面での反射光(アルベド)が減少し、結果として海氷を透過して海氷下の海水に到達する太陽光が増加するためである。以前の我々のモデルではこのメルトポンドの存在による海氷透過光の増加が必ずしも十分に表現されていなかった。今後、協力者の海氷モデラーの助力によって、メルトポンドによる海氷透過光の増加を導入する予定である。この改良によって、気候変動に伴って北極海の気温が上昇するとメルトポンド形成を通じた海氷透過光増加によって植物プランクトンの一次生産が増加するというプロセスが表現できるようになる。 これ以外の様々な点についてもモデルの改良を行うのと同時に、これまでに得られた成果の論文化を進める。
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