研究課題/領域番号 |
22K12346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
寺本 宗正 鳥取大学, 乾燥地研究センター, テニュアトラック助教 (10761041)
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研究分担者 |
梁 乃申 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (50391173)
高橋 善幸 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (40280713)
伊藤 健彦 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 研究職員 (50403374)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | チャンバー法 / 炭素循環 / 成帯構造 / 光合成 / 生態系呼吸 / 土壌呼吸 / 海岸砂丘 / 海浜植生 / 二酸化炭素 |
研究開始時の研究の概要 |
海岸砂丘は海浜植物が自生する貴重な生態系であるが、後背地の開発や海岸侵食等の影響から面積が減少し、保全が必要な対象となっている。近年では温室効果ガスの吸排出の面からも海浜植生および海岸砂丘生態系を評価することで社会的価値を高め、保全を推進しようとする動きがある。しかし、その最も直接的な評価指標の一つとなる、二酸化炭素収支(CO2フラックス)に関する観測データは欠如しており、検討が不十分である。そこで本研究では、海浜植物種毎のCO2フラックス特性を明らかにすると共に、ドローン観測から植生分布と活性を把握し、CO2フラックスデータをスケールアップすることで、海浜植物群落全体のCO2収支を評価する。
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研究実績の概要 |
本年度は、2022年4月から6月まで海岸砂丘における各海浜植物群落(コウボウムギ、ハマゴウ、ケカモノハシ、カワラヨモギ)において、土壌から排出される二酸化炭素(土壌呼吸速度)および海浜植物を含んだ二酸化炭素の交換速度(CO2交換速度)を、月に1~2回携帯型の自動開閉チャンバーシステムで測定した。CO2交換速度測定の際は、無遮光から徐々に遮光布を重ねて測定し、最終的に暗幕を用いて完全遮光下で生態系呼吸速度も測定した。各群落における光合成の光反応曲線および呼吸の温度反応曲線を導き、連続観測している各環境パラメータ(光合成有効光量子束密度、地下30 cmの地温)に当てはめ、総一次生産速度、呼吸速度、CO2交換速度に関して連続的な推定値を導いた。この海岸砂丘における調査地では、既に2021年6月から土壌呼吸およびCO2交換速度の観測を開始しており、本年度の観測で1年分の観測データが取得されたことになる。また、2022年7月から8月にかけて、各海浜植物群落で植物地上部および地下部のサンプリングを行い、乾燥重量を測定した。さらに、2023年2月には、マルチスペクトルカメラを搭載したドローンで調査地周辺の植生に関して予備的な観測を行った。 土壌呼吸や海浜植物を含んだ生態系呼吸に関しては、いずれの群落でも地温の季節的な上昇に伴って指数関数的に上昇する傾向が見られた。一方で、推定平均CO2交換速度の月平均値に注目すると、各群落でCO2の吸収が活発であった季節はそれぞれ異なった。ハマゴウは6月から7月、ケカモノハシは5月から10月、カワラヨモギは4月と6月であった。コウボウムギに関しては2021年6月にはCO2の吸収が活発であったが、2022年6月にはCO2の排出の方が吸収を卓越していた。以上のことから、各海浜植物群落でCO2の吸収および排出に関する特徴的な季節変動パターンが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り、定期的なCO2フラックス観測から1年分の観測データを取得することができ、バイオマス調査も実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度までの調査区では、バイオマス調査によってCO2フラックス測定区内の植物に関し、全刈り取りを行った。そのため2023年度は、その近傍に新たに調査区を設置し、定期的なCO2フラックス観測を再開する。それに合わせて定期的なドローン観測も実施して、植生分布や活性に関する解析を開始する。2022年度までに得られた1年分の観測データに関しては、論文成果として公開することを目指す。
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