研究課題/領域番号 |
22K12349
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
谷水 雅治 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (20373459)
|
研究分担者 |
細野 高啓 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30367065)
伊藤 茜 九州大学, 工学研究院, 助教 (30844659)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | ICP質量分析法 / イオン-分子反応 / 同位体 / 化学種 / 地下水 / 同位体トレーサー / 質量分析 / ICPMS / 微量元素 |
研究開始時の研究の概要 |
地下水資源の保護や持続的利用の観点から、元素の同位体トレーサーを用いた地下水流動の詳細な解析による水質評価が必要とされている。本研究では、新しい原理を用いた無機質量分析手法により、迅速かつ多数の試料の同位体分析を可能とする新規手法を確立する。 地下水年代(流動速度)、地下水混合、酸化還元変化の評価トレーサーとして、大気核実験由来236U、87Sr/86Sr比の迅速測定、および水溶液中の34S/32S比の直接測定法の各分析手法を確立する。得られた手法を、熊本市域地下水に適用し、本手法で得られたデータの妥当性と汎用性を評価する。
|
研究実績の概要 |
地球化学的手法を用いた地下水の流動方向や混合解析の研究では、各種同位体トレーサの迅速分析法の確立が必要である。本研究では、各分析対象同位体イオンの質量分析において、質量分析装置内部の反応セルでのイオン-分子反応により、積極的に衝突させる反応ガス分子の種類や導入量、反応ガス分子への測定対象イオンの衝突速度(運動エネルギー)の各項目を変化させ、検出感度の向上および干渉イオンを最大限に除去できるよう、装置条件の最適化を試みている。 本年度は、さまざまな元素のイオンに対して、反応セル内に酸素ガス分子を導入し、目的イオンと多原子分子イオン干渉との間の反応性の違いを検証した。従来の質量分析手法では高感度定量が困難であった、236Uや32S、31Pや87Srの各核種について、熱力学的に予想されるイオン-分子反応の発熱性/吸熱性との整合性を確認した。とくに、元素イオンと酸素ガスとの間の反応では、元素イオンの酸素原子との間の親和性によって反応性が大きく異なるため、周期表上で隣接および同族に分類される元素を含めて、反応割合と生成化学種に関するデータを取得した。また、陸水試料について、クロマトグラフィーを用いて元素の溶存化学種ごとに分離定量する手法に、本研究手法によるイオン-分子反応を組み合わせることで環境中に存在する元素化学種の高感度検出を試みた。 その結果、87Srと同重体干渉する87Rbについて、酸素ガスとは両イオンとも吸熱的に反応するが、衝突速度をあげることにより、87Srの酸化物イオンへの変換が促進される一方、87Rbは衝突速度を上げても酸化物イオンへの変換は促進されないことを確認した。また、溶存化学種ごとの分析では、人為起源的に環境に付加した有機リン化合物の定量に関する、溶離液とpHの最適化を行い、各種有機リン化合物の相互分離定量を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析試料を質量分析装置へのイオン源に高効率に導入する装置が、円安と物価高のために当初想定した予算では購入できなくなったため、2年目のクロマトグラフィーと接続する研究内容を優先して実施した。総合的には、予定された内容に則して、研究開発は進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
イオン-分子反応の反応過程について、今後さらに詳細に反応機構を解析する。また、脱溶媒装置の導入により、水分子起源の干渉を低減することで、より確度の高い同位体分析手法の確立を目指す。クロマトグラフと接続した化学種ごとの分離定量法の新規開拓についても、適用できる化合物の範囲拡大を目指し、さまざまな溶離条件を検討する。
|