研究課題/領域番号 |
22K12352
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
永井 信 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 主任研究員 (70452167)
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研究分担者 |
遠藤 拓洋 独立行政法人国立科学博物館, 附属自然教育園, 一般職員 (30787354)
徳本 雄史 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 准教授 (60780153)
市榮 智明 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (80403872)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 植物季節(フェノロジー) / リモートセンシング / 生物多様性 / Sentinel-2A/2B衛星 / PlanetScope衛星 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ここ数年の衛星観測の技術と運用体制の革新を背景として、植物季節(開葉・開花・落葉など)と樹木の形態的な特徴に着目し、地上と高頻度・高空間分解能衛星の統合的な観測により、日本とボルネオの常緑広葉樹林の種を可能な限り個体レベルで判別・広域的に地図化し、その空間分布の特徴を検出する。地上真値を取得するため、日本の天然林・二次林・栽植林やボルネオの天然林において定期的に地上観測を行う。これらの結果、これまで技術的に困難であった衛星による常緑広葉樹林の観測研究が劇的に発展し、生物多様性や地球観測研究ネットワークに対して、地上と衛星の統合的観測体制についての新たな指針の提案が可能になる。
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研究実績の概要 |
本年度は、当年度に計画した2項の研究課題:「衛星観測が可能な植物季節や樹木形態の特徴に関する地上真値の取得」及び「特徴的な植物季節の要因や条件の解明」を達成するために、次の3項目を行った。 (1)タイムラプスカメラにより、国立科学博物館附属自然教育園(天然林、以後自然教育園と記述)ではツブラジイとマテバシイ、宮崎大学演習林ではスダジイなど、高知大演習林ではアカガシの植物季節を継続的に定点撮影した。(2)自然教育園と東京大学大学院 理学系研究科附属植物園(栽植林、以後小石川植物園と記述)では、数十種の常緑広葉樹及びブナ科の樹木を対象に、開葉や開花の様式や期日に関する定点観察(目視及び写真撮影)を4月から5月に毎週行った。(3)本年度までに得られた地上真値に基づき、日本に分布するブナ科を対象に開葉や開花季節及び樹木樹形の特徴を整理し、衛星観測による樹種判別が可能な種を調査した。 以上の結果、衛星観測は、樹冠において上向きに花が被覆するシイ属の2種(ツブラジイ・スダジイ)とマテバシイ属の2種(マテバシイ・シリブカガシ)の判別ができる一方、樹冠において下向きに花が垂れ下がるコナラ属の9種(ウバメガシ・アカガシ・ツクバネガシ・ウラジロガシ・シラカシ・アラカシ・ハナカガシ・イチイガシ・オキナワウラジロガシ)の判別ができない可能性を明らかにした。また、東京付近ではブナ科の常緑性樹木は、4月から5月にかけて新葉の開葉にともない、樹冠が深緑色から黄緑色へ変化する。けれども、新葉の開葉の様式や期日に明確な樹種間差がみられない。このため、新葉の開葉は衛星観測による樹種判別にとって有用な情報ではないことを明らかにした。以上の結果は、国立科学博物館「自然教育園報告」において出版予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ボルネオのランビルヒルズ国立公園における観測に関して、サラワク州当局による研究調査の許可申請・管理の体制の厳格化により、コロナ禍後の現地調査及び関連する解析を未だに再開できない状況である。しかしながら、当観測を除く他の計画項目に関しては、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ボルネオのランビルヒルズ国立公園を対象とした研究では、衛星解析を含め、サラワク州当局に対する研究調査許可が必要である。現況としては、承認の見通しが立たないため、日本の常緑広葉樹に力点をおいた研究体制に変更する。ただし、研究調査許可の交渉及び申請は継続的に行う。 2024年度は、自然教育園・小石川植物園・宮崎大演習林・高知大演習林における自動定点撮影及び定期的な植物季節観測を継続し、常緑広葉樹の開葉や開花季節の年々変動及びその要因を明らかにする。その結果を踏まえ、高空間分解能を持つ衛星データ(Sentinel-2A/2B)による広域的な樹種判別及び地図化を試みる。このとき、ツブラジイやスダジイの開花の豊凶など新たな視点に着目する。
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