研究課題/領域番号 |
22K12353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
関谷 高志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 研究員 (00781460)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | エアロゾル / 大気汚染 / 気候変動 / データ同化 / 数値シミュレーション / 排出量変化 / 化学輸送モデル |
研究開始時の研究の概要 |
効果的な大気汚染・温暖化緩和策を講じるためにも、人間活動が大気中の微粒子(エアロゾル)の変動に与える影響を正確に把握する必要がある。しかし、従来のボトムアップ手法のみでは、定量的な理解に至っていない。そこで、大気汚染領域で濃度が高いエアロゾルの材料となる、二酸化硫黄、窒素酸化物、アンモニアの衛星観測をデータ同化を用いて統合し、世界各国の排出量変動がエアロゾルに大して与えた影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、申請者がこれまで開発・利用してきたNO2を対象としたデータ同化システムを、SO2・エアロゾル光学的深さ(AOD)などのエアロゾルに関連する衛星観測も対象とし、エアロゾルおよびその前駆物質の排出量逆算が可能なシステムへと拡張した。数ヶ月の試験的計算とデータ同化に使用していない地上観測・航空機観測を比較し、データ同化システムの性能を評価した。硫酸塩・硝酸塩・アンモニウム塩(SNA)エアロゾル濃度は、東アジア・北米・域の地上観測・海洋上の航空機観測と比較して改善することが確認された。その一方で、一次有機エアロゾル、鉱物ダスト、海塩など大気に直接排出される一次エアロゾルは過大評価が悪化し、再現性には未だ課題があることが判明した。 さらに、NO2およびSO2を対象とした開発段階のデータ同化システムを用いて、新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的感染拡大に伴う社会経済活動の変化が大きい2020 年前半の期間に着目した排出量およびエアロゾル濃度の変動の解析も行った。その結果、東アジア・北米・ヨーロッパ地域では、2020年4月のロックダウンによってNOx、SO2排出量がそれぞれ19-25%、14-20%減少していたと推定された。化学輸送モデル数値計算により、これらの地域における排出量減少は、8-21%のSNAエアロゾル量減少を引き起こしたと推定された。SNAエアロゾル濃度の減少量は排出量減少量に比例しておらず、非線形な大気化学プロセスによるフィードバックを通じて非線形な応答を示すことを明らかにした。また、SNAエアロゾル減少が地球規模の放射収支に+0.14 W m-2の影響を与えうることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エアロゾル及びその前駆物質の排出量逆推定を包括的に行うデータ同化システムの開発についてはやや遅れているが、次年度に予定していた新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的感染拡大に伴う社会経済活動変化の影響解析は想定以上に進めることができたため、全体としては概ね順調な進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
エアロゾル及びその前駆物質の排出量逆推定を包括的に行うデータ同化システムの開発について、衛星観測データ前処理、数値予報モデル、データ同化スキームの再検討・最適化を進め、データ同化システムの開発を完了させる。 また、計画より順調に進めることができたCOVID-19の世界的感染拡大期間の解析結果については、早期の論文化を目指す。
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