研究課題/領域番号 |
22K12354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 大阪市立環境科学研究センター |
研究代表者 |
浅川 大地 大阪市立環境科学研究センター, その他部局等, 研究主任 (80470251)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | オゾン酸化 / Ozonolysis / デニューダー / 大気有機物 / 網羅分析 / オゾン / 化学物質 / 大気化学 / 微小粒子状物質 / 指標有機物 / オゾンデニューダー |
研究開始時の研究の概要 |
大気中有機化合物の酸化反応は、気候変動や生態リスクといった大気環境研究の中心的課題の要諦であり、その理解には有機化合物の大気中での存在状態をありのままに測定することが不可欠である。しかし、大気試料を捕集している間に、有機化合物はオゾンによる酸化変性を受けて化学構造が変化してしまう。そこで本研究では、大気中有機化合物の捕集に適したオゾン除去機構を開発し、試料捕集中のオゾン酸化を抑制することで、大気中有機化合物の存在実態の把握を試みる。
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研究実績の概要 |
大気中有機物を捕集する際のオゾン酸化を抑制可能なオゾンデニューダーを制作した。昨年度までに、制作したオゾンデニューダーを用いて微小粒子状物質(PM2.5)を採取してその効果を確認した。制作したオゾンデニューダーでは、オゾン濃度が高い夏季においても、97%以上のオゾン除去効率を2週間以上維持することが可能であり、オゾンを除去することでPM2.5中のジカルボン酸類や硫酸エステル類の酸化生成やベンゾ[a]ピレンの分解が抑制されていることを明らかにした。さらに、ペルフルオロアルキル化合物(PFASs)サンプラーに適用したところ、試料捕集中のオゾン酸化によって前駆体化合物(テロマーアルコール類)からペルフルオロカルボン酸類(PFCAs)が生成していることが示された。 今年度はオゾンデニューダーを用いて高時間分解観測などを実施した。その結果、オゾン濃度が上昇する日中に、有機化合物の酸化生成や分解が顕著であることが明らかになった。すなわち、大気中の有機化合物の挙動を把握するためには、試料採取時のオゾン酸化の抑制が必要である。また、PM2.5の捕集時にオゾンデニューダーを使用すると、フィルターに捕集される有機体炭素濃度(OC)が約15%減少した。これは、通常の捕集法では揮発性有機物がフィルターに吸着してその場で酸化されていることを示し、これまでに全国の自治体で測定されているPM2.5のOC濃度は過大評価されていると考えられる。 本研究で開発したオゾンデニューダーの制作方法について特許出願を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通り、本研究で開発したオゾンデニューダーの制作方法について特許出願を行った。 また、高時間分解観測等の各種手法観測への適用を試み、新たな知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
制作したオゾンデニューダーを研究協力機関に配布してサンプリングネットワークを構築し、開発技術の効果検証や大気中有機化合物の真の挙動に関する知見を集積する。 特許出願やデータ取得にエフォートを割いたため、成果発表がやや遅れている。今年度予定していた国際会議での講演は次年度に実施することにし、論文化等の成果発表を促進する。
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