研究課題/領域番号 |
22K12357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
開發 一郎 広島大学, 総合科学研究科, 名誉教授 (60160959)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 土壌水分 / TDRコイルプローブ / マイクロ波放射計 / 地球観測衛星 / 土壌水分測定検証 / モンゴル高原 / 検証 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は独自に開発した深度1cmの土壌水分測定が可能なTDRコイルプローブ(CP:直径4.5mmで感部長40mmの棒状TDRコイルプローブ)の地表面土壌薄層への適用性を明らかにし、モンゴル高原試験域で2009年から実施している本CPによる深度1㎝と3㎝の定点土壌水分測定データを用いてAMSR2・SMOSのマイクロ波土壌水分測定検証を行い、さらに複数点の深度3㎝・10cmのTDR2線プローブデータに基づいた数値解析(水収支物理モデル他を活用)の深度1㎝の推定面積土壌水分値とAMSR2・SMOSの土壌水分データの比較解析による高度土壌水分測定精度の検証を試み、地上土壌水分測定の最適深度を検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に実施できなかった温度影響の補足実験を完遂し、さらにモンゴル国の試験域のマンダルゴビサイト(MGS)他6点のサイトの2018年-2022年のCPと従来型TDR2線プローブの土壌水分データと基本気象要素のデータの信頼性・適用性などの品質の解析を行い、タイガ林試験地で2002年-2007年のCPのデータを再解析し、CPの基本特性・精度・パフォーマンスの検討を行った。また、補完実験として現地(MGS)でAWS近接の複数点の深度1㎝の土壌水分の測定をサンプリングし、CP土壌水分の精度がよいことを明らかにすると共に深度1㎝の土壌水分の代表性を考察し、データ数が少ないが代表性が半径10cmくらいあることを推測した。これを基にMGS土壌の補完的校正実験を実施し、従来の土壌水分測定のキャリブレーション式の精度を高めた。一方、CPの土壌水分測定の有効性・精度の補足的研究のために、地球観測衛星 Sentinel-1/C-SARの土壌水分データの汎用性について検討し、本研究におけるSentinel-1/C-SAR土壌水分の適用の可能性を見出した。さらに、数値解析または物理モデルや経験モデルによる試験域内の深度1㎝の推定面積土壌水分推定のための実験の基本パラメータであるMGS土壌地表面薄層(0-5㎝深度)の不飽和透水係数を取得した。2023年度の研究成果を中間報告として関連学会(日本地下水学会、水文・水資源学会、土木学会、AOGS、GEOMATE2023)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に実施できなかった温度影響の補足実験を完遂し、さらにモンゴル国の試験域のマンダルゴビサイト(MGS)他6点のサイトの2018年-2022年のCPと従来型TDR2線プローブの土壌水分データと基本気象要素のデータの信頼性・適用性などの品質の解析を行い、タイガ林試験地で2002年-2007年のCPのデータを再解析し、CPの基本特性・精度・パフォーマンスの検討を行い,厳しい自然環境条件下でもCPの耐久性が高いことや高精度測定が可能であることを確認した。また、補完実験として現地(MGS)でAWS近接の複数点の深度1㎝の土壌水分の測定をサンプリングし、CP土壌水分の精度がよいことを明らかにしたが、深度1㎝の土壌水分の代表性を量的に明らかにするためには更なる実験が必要であることが課題として残った。一方、CPの土壌水分測定の有効性・精度の補足的研究のために、地球観測衛星 Sentinel-1/C-SARの土壌水分データの汎用性について検討し、本研究におけるSentinel-1/C-SAR土壌水分の適用の可能性を見出したが、取得データがそれほど多くないことが問題であり、今後さらに検討が必要である。また、数値解析または物理モデルや経験モデルによる試験域内の深度1㎝の推定面積土壌水分推定のための実験の基本パラメータ取得のために、モンゴル国のルーチン観測点の気象データと土壌水分データをできるだけ入手する必要があるが、困難を要している。これが無理な場合は、数値実験の実施は難しくなる。さらに数値実験や物理実験の試験域のグリッド化も要検討である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は試験域の全サイト(状況によりモンゴル国のルーチン観測点を含む)のデータをできるだけ収集し、それらの品質解析をし、土壌水分や降雨及び地温の空間分布をできるだけ小さなグリッド(20-50kmグリッドを予定)で求める。この結果を試験域の深度1㎝の面積土壌水分の推定のための土壌水分移動の数値シミュレーションモデル(HYDRUSを利用予定)または独自の物理モデル・経験モデル(土壌水分ラックス・水収支モデル)の地表面境界や初期の設定条件として用いることを検討し、試験領域の深度1㎝土壌の面積土壌水分の推定モデルを構築する予定である。本モデルを利用し、深度1㎝の面積土壌水分を推定し、同時にAMSR2とSMOSの2019年から2022年の乾燥年と湿潤年の試験領域の土壌水分データの品質の再解析を行い、AMSR2とSMOSの比較解析からAMSR2とSMOSの土壌水分データの土壌水分測定精度の検証を試み、地上検証のための最適深度を議論する。
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