研究課題/領域番号 |
22K12363
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
黒沢 則夫 創価大学, 理工学部, 教授 (30234602)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 南大洋 / 海氷 / カイアシ類 / 種内遺伝子多型 / 遺伝子多型 |
研究開始時の研究の概要 |
南極沿岸で冬期に生成し夏期に沖合で融解する海氷は、沿岸由来の様々な懸濁物のキャリアとなり、南大洋生態系に大きな影響をもたらす。したがって海氷の生成場所を明らかにすることは重要であり、人工衛星データからの推測が行われているが、より直接的な方法でその値を検証することが求められている。南極海浮氷中に高頻度で見いだされる沿岸性カイアシ類は、生息場所ごとに異なる種内遺伝子多型を示すため、海氷の生成場所を特定するための指標生物となり得る。本研究では、カイアシ類をトレーサーとした南極海氷の生成と流動の検証手法の確立を念頭に、南極海氷中に見いだされる沿岸性カイアシ類の分子系統地理学的解析を行う。
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研究実績の概要 |
カイアシ類をトレーサーとした南極海氷の生成と流動の検証手法の確立を念頭に、南極海氷中に見いだされる沿岸性カイアシ類の分子系統地理学的解析を行っている。 本年度は、第61次南極地域観測隊により2019年12月から2020年3月に南大洋インド洋区の沖合22カ所から採取された浮氷を融解した試料(10%ルゴール液固定、65サンプル)のうち、リュツォホルム湾、ダンレー岬沖、トッテン氷河沖の3つの海域で採取された計18個の海氷について、カイアシ類の分析を行った。実態顕微鏡下で、3種のカイアシ類:Stephos longipes, Paralabidocera antarctica, Drescheriella glacialisを選別し、それぞれ成長段階(ノープリウス幼生期、コペポダイトⅠ~Ⅴ期および成体)ごとに計数し、個体数密度を算出した。また、海域ごとに1種につき5個体(3海域3種で計45個体)を無作為に選び、1個体ずつ改変Lysis buffer法によりDNAを抽出した。このDNAを鋳型としてPCR法によりミトコンドリアCytochrome b遺伝子(cytb)を増幅し塩基配列を決定し、最尤法により進化系統樹を作成した。 個体数密度と種内遺伝子多型のいずれにおいても、3種間それぞれに特徴的な傾向が認められ、当初のねらい通り、これらカイアシ類の生物系統地理学的特徴が、南極海氷の生成と流動の検証手法のひとつとして用いることが可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多数の海氷試料から3種のカイアシ類を選別し、計45個体について遺伝子解析まで進めることが出来た。その結果、本年度の最も重要な目標であった「予備実験から得られていた沿岸性カイアシ類の種内遺伝子多型の存在を検証する」ことを達成した。またこの実験を通して、今後の研究における方法論を概ね確立することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は次の5つについて進める。 (1)研究対象とする3種のカイアシ類について、さらに多くの個体を南大洋浮氷中から選別し遺伝子解析に供する。(2)オーストラリアタスマニア大学の研究協力者から、南極沿岸定着氷由来のカイアシ類試料の提供を受け、遺伝子解析を実施する。(3)8月にタスマニアで開催されるオーストラリア研究協力者らとのワークショップに出席し、本研究の紹介を行うとともに更なる国際協力体制の構築を試みる。(4)12月に開催される極域科学シンポジウムにおいて研究成果の一部を公表する。
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