研究課題/領域番号 |
22K12367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
荻野 慎也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), 主任研究員 (80324937)
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研究分担者 |
藤原 正智 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (00360941)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | オゾン / 大気汚染 / コールドサージ / ベトナム / バイオマス燃焼 / 東南アジア |
研究開始時の研究の概要 |
大気汚染物質の重要な排出源である東南アジアでは、春季の下部対流圏でオゾンが増大する。このオゾン増大はハノイ西方でのバイオマス燃焼に伴う汚染大気が東方輸送されたものである。ミクロに見るとこのオゾン増大は、数日の時間スケールを持ったコールドサージに伴って間欠的に起こる。本研究では、コールドサージに伴うオゾンの時空間変動を高頻度オゾンゾンデ観測と高精度の化学再解析データに基づき記述し、春季大気汚染の発生メカニズムを解明する。得られる知見は、深刻化する東南アジアの大気汚染の予測に直接貢献するとともに、地球温暖化に関与する全球オゾン収支に対する東南アジアの寄与を精度よく評価することに資すると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、数日の時間スケールで発現する東南アジア春季大気汚染のメカニズムを明らかにすることである。その実現のため、実際に汚染大気の生成や輸送をもたらす現象を分解できる日々の時間スケールの解析を行う。初年度の本年は、化学再解析データを用いた解析によりオゾンの変動をもたらす気象現象を特定し、発生から輸送過程までを記述した。10年分のデータから3月において数回程度起こる数日スケールのオゾンの変動イベントを全て抽出し、そのケーススタディーを行った。基本的にはコールドサージイベントに伴うものであったが、それ以外の現象(上層の高低気圧に伴うもの)も見出された。コールドサージイベントとそれ以外を区別して抽出する手法を考案し、これにより数日スケールのオゾン変動をもたらす気象現象の種類や仕組みを理解するとともに、統計的な解析に利用するための、現象の抽出手法を確立することができた。次いで、化学再解析データで再現される現象を検証するため、オゾンゾンデ強化観測を行う予定であったが、後述の理由により1年延期することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
化学再解析データの解析は上述のように想定以上に順調に進み、コールドサージに伴うオゾン変動の仕組みについての理解が進展した。一方、2023年3月に実施予定であったオゾンゾンデ集中観測は1年延期することとした。これは、上述のデータ解析から、年によってはコールドサージに伴うオゾン変動の発生が非常に少ない場合があるため、数に限りのあるオゾンゾンデ観測をより効率的にコールドサージイベントに合わせて実施した方が良いとの結論を得たためである。このような観測を実現するために、観測計画の修正や現地との調整に一定程度の時間が必要と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、延期した観測を実施するため、各種のリアルタイム気象データや数値予報データを活用し、コールドサージの発生を予測する仕組みを整えるとともに、現地においてコールドサージの到来に合わせて職員を配置するなど、機動的な観測実施に向けて必要な調整を行う。年度後半には観測を実施する。 観測準備と並行して、観測データ取得後の解析の準備を行う。オゾンゾンデ観測データと化学再解析データとの比較研究の計画を立てるとともに、計算機プログラムの作成を行う。観測が研究期間後半にずれた分、観測実施後は迅速に得られたデータを用いた解析研究を進められるよう準備を行う。 化学再解析データの解析については、今年度のケーススタディの結果を受けて統計解析を進めることにより、現象の発生、発達、消滅に関わる本質的な過程を抽出し、理解を進展させる。
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