研究課題/領域番号 |
22K12378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
有吉 健太郎 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50462750)
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研究分担者 |
三浦 富智 弘前大学, 被ばく医療総合研究所, 教授 (20261456)
葛西 宏介 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (50400148)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | バイスタンダー効果 / 放射線 / 野生動物細胞 / 進化的保存性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、放射線誘発バイスタンダー効果の進化的保存性に着目し、アカネズミ、アライグマ、ニホンザルから樹立した初代培養細胞、および正常ヒト由来細胞においてバイスタンダー効果の発現の有無を確認する。また、それぞれの細胞から放出されるバイスタンダー因子を含んだ培地が、種の壁を超えてバイスタンダー効果を引き起こすかを検討することで、進化上保存された因子の存在を探る。
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研究実績の概要 |
本研究では、放射線誘発バイスタンダー効果の進化的保存性に着目し、アカネズミ、アライグマ、ニホンザルから樹立した初代培養細胞、および正常ヒト由来細胞においてバイスタンダー効果の発現の有無を確認することを目的とした。 これまでの実験から、正常ヒト細胞(HDFn)に放射線を照射し(2Gy X線)、24時間培養したのちの細胞培養液(irradiated conditioned medium: ICCM)を回収し、野生動物(アカネズミ、アライグマ、ニホンザル)細胞にICCMを加えて24時間処理を行なった。その結果、非照射の正常ヒト細胞由来の培地(control-cellconditioned medium: CCCM)と比較して、ICCM処理した野生動物細胞のいずれにおいても、微小核の出現頻度の有意な上昇が観察された。本年度は、野生動物(アカネズミ、アライグマ、ニホンザル)細胞それぞれに放射線を照射し(2Gy X線)、24時間培養したのちのICCMを回収し、HDFn細胞および野生動物(アカネズミ、アライグマ、ニホンザル)細胞それぞれにICCMおよびCCCM処理(24時間)を行った。その結果、CCCMと比較して、ICCM処理した細胞の全てで微小核の出現頻度の有意な上昇が観察された。 次に、ヒト細胞および野生動物細胞の全てのCCCMおよびICCMからエクソソームを採取し、ヒト細胞および野生動物細胞に24時間処理したところ、、ICCM由来のエクソソームを処理した全ての細胞で微小核の出現頻度の有意な上昇が観察された。 これらの結果から、放射線照射後に放出されるエクソソームの中に含まれる成分が、種の壁を超えたバイスタンダー効果を引き起こしていることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常ヒト細胞(HDFn)由来のICCMに加えて、各々の野生動物細胞(アカネズミ細胞、アライグマ細胞、ニホンザル細胞)由来のICCMが、異種の動物細胞において微小核を誘導した結果に加え、ICCM中より採取したエクソソームが微小核を誘導したことから、エクソソームは種の壁を超えたバイスタンダー効果を引き起こす重要な因子であることが示された。従って、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにヒト細胞(HDFn)において、エクソソーム中に含まれるミトコンドリアDNA(mtDNA)がバイスタンダー効果に寄与していることを確認しており(Ariyoshi et al, Sci Rep, 2019)、ヒト細胞と同様、野生動物細胞(アカネズミ細胞、アライグマ細胞、ニホンザル細胞)の放出するエクソソームにおいてもmtDNAがバイスタンダー効果を引き起こしている可能性を調査する。
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