研究課題/領域番号 |
22K12392
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高根沢 康一 北里大学, 薬学部, 准教授 (90345257)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | メチル水銀 / p62 / オートファジー / プロテアソーム / トランスポーター / 微生物由来化合物ライブラリー / p62/SQSTM1 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、p62に着目したメチル水銀を効率的に排出する分子基盤の構築、メチル水銀排出促進化合物の探索を行うことを目的としている。p62に捕捉されるメチル水銀結合タンパク質がどのような分子であるか、p62を介するメチル水銀結合タンパク質の分解系と排出メカニズムを明らかにする。また、p62発現を増加させる低分子化合物の探索を行う。
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研究実績の概要 |
メチル水銀の毒性は、細胞内に透過した後、様々なタンパク質のチオール基と共有結合し, 酵素の変性や活性の低下を惹起すると考えられている。しかし、タンパク質に結合した後のメチル水銀の動態はほとんど理解されておらず、メチル水銀の解毒法も確立していない。オートファジーレセプター分子p62は分解基質を認識し、分解基質をオートファジーおよびプロテアソームに輸送する役割を担っており、細胞内の不要なタンパク質の解毒代謝の鍵となる制御分子である。本研究は、p62の欠損in vivo, in vitroモデル系を両立することにより、p62が鍵分子となるメチル水銀結合タンパク質の分解系、およびその分解と共役してメチル水銀を細胞外に排出するトランスポーターを明らかにしたい。 本年度は、作製したp62KOマウスを用いて、メチル水銀投与による臓器蓄積性およびメチル水銀に対する感受性を野生型マウスと比較した。その結果、p62KOマウスの臓器水銀量は野生型マウスより高く、p62KOマウスは野生型マウスよりメチル水銀に高い感受性を示すことを明らかにした。また、細胞内の水銀濃度に影響を与える化合物をスクリーニングした結果、メチル水銀の排出に関わるトランスポーターXを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は作製したp62KOマウスを用いたin vivo実験を開始した。メチル水銀を単回あるいは反復経口投与し、臓器の水銀量を測定したところ、p62KOマウスは野生型マウスと比べて、ほとんどの臓器において高いメチル水銀濃度が検出された。また、比較的高濃度のメチル水銀を反復経口投与し、p62KOマウスと野生型マウスの生存率を調べた結果、p62KOマウスは野生型マウスより早期に体重の減少が観察され、死亡する個体も多かった。これらの結果は、申請者の培養細胞を用いた先行研究の結果を支持するものであり、順調な進捗が得られたといえる。さらに、in vitro実験において、メチル水銀の排出に関わるトランスポーターXを見出すことに成功し、研究計画の全体は当初の予定に従って順調に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
p62KOマウスを用いたin vivo実験では、臓器の障害性をHE染色にて評価する。また、in vitro実験では、本研究で見出したトランスポーターXをHeLa細胞に過剰発現させ、メチル水銀の排出が促進されるかを検討する。p62発現調節化合物の探索ではこれまでに幾つかのメチル水銀の毒性を増強する新規化合物を同定したものの、まだ有力な目的化合物の同定には至っていないため、本年度もスクリーニングを継続していく。
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