研究課題/領域番号 |
22K12393
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
矢嶋 伊知朗 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80469022)
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研究分担者 |
須原 義智 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (30297171)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 紫外線 / ヒ素 / 皮膚がん |
研究開始時の研究の概要 |
東アジアを中心に、飲用井戸水の多くがヒ素を含む毒性元素で高濃度に汚染されており、世界では2億人以上の人々が飲用水として利用することでヒ素による長期曝露のリスクに曝され、その多くが皮膚がんを含む様々ながんや糖尿病、中枢神経疾患等を発症するなど重大かつ世界的な環境健康問題となっている。一方で紫外線は地上のあらゆる場所に存在する皮膚疾患の主要な要因となる環境因子である。ヒ素と紫外線、それぞれの個別の研究は数多く存在するが、同時に曝露される状況(複合曝露)に関する研究は非常に少ない。本研究では、複合曝露による発がん活性上昇メカニズムを解明するとともに、発がんの有効な予防・治療の開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
紫外線とヒ素の複合曝露による皮膚がん発症の分子メカニズム解明と、低分子ペプチドによる皮膚がん発症の予防・治療法開発のため、研究計画に従い、本年度は以下の研究を実施した。 【A-1】複合曝露誘発性皮膚がんの解析 ヒ素及び紫外線を様々な濃度及び時間で曝露し、曝露後の形態変化等を観察した。紫外線曝露はDNAへの直接ダメージを含む様々なストレスを発生させ、細胞増殖停止やアポトーシスを誘発した。ヒ素曝露では、低濃度では細胞増殖活性を上昇させたが、高濃度では細胞増殖停止やアポトーシスを誘発した。複合曝露では、細胞増殖停止やアポトーシスが相乗的に誘発され、DNAダメージの総量も有意な増加も観察された。 【A-2】複合曝露誘発性皮膚がんにおける関連分子発現パターン解析 【A-1】の結果で得られた現象がどのような分子メカニズムによって制御されているのかを明らかにするために、紫外線曝露やヒ素暴露によって変化する様々な分子の発現パターンや活性化(リン酸化等)の変化を解析した。これまでの研究により紫外線暴露によって変化する分子とヒ素曝露によって変化する分子には共通項が存在することが明らかとなっており、本研究で着目した関連分子(p53, p21, ERK, AKT等)の発現量および活性化レベルをウェスタンブロット等の手法により解析したところ、複合曝露はこれらの発現パターンや活性化レベルを、単独曝露と比較して大きく変化させることが明らかとなった。 【B-1】【B-2】【C-1】【C-2】研究計画により、複合曝露誘発性皮膚がんの解析と予防治療法開発研究をスタートさせた。まずはがん関連分子の発現パターンの解析を行い、それらの変化は、今回使用した低分子化合物によって抑制されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り【A-1】【B-1】【C-1】を研究開始時からスタートさせて各研究結果を得ている。半年遅れでスタート予定であった【A-2】【B-2】【C-2】も予定通り開始しており、その成果は研究計画時に立案した仮説を証明しつつある。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果をもとに、以下の研究を推進する。 「【A-1】複合曝露誘発性皮膚がんの解析」のより詳細な解析 22年度の解析では、単独曝露・複合曝露各条件による細胞死誘導やDNAダメージ評価を実施した。それらの評価を継続しつつ、発がんリスクの評価も行う。 「【A-2】複合曝露誘発性皮膚がんにおける関連分子発現パターン解析」のより広範囲な検証 22年度の解析では、検証するターゲット分子をp53, p21, ERK, AKT等に絞っていたが、より広範囲の分子に対しても検証を行う。 【B-1】【B-2】【C-1】【C-2】研究計画により、22年度にスタートしている複合曝露誘発性皮膚がんの解析と予防治療法開発研究を加速させる。すでに一部の発がんシステムの構築と予知予防法評価システムが稼働しており、本年度ではそれらのシステムを用いて様々な低分子化合物の評価を行う。
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