研究課題/領域番号 |
22K12409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
横山 淳史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (80414506)
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研究分担者 |
稲生 圭哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主席研究員 (70391208)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 水生昆虫 / 新規殺虫剤 / WET試験 / 成長遅延 / 現場バイオアッセイ / 遅延毒性 / 農薬 / 胚発生毒性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、農薬に対する安全意識の高まりとともに、ミツバチ等の有用生物に対し低毒性の新規殺虫剤が開発されている。本研究は、これら新規殺虫剤等を対象とし、河川水生昆虫の、最も農薬ストレスを受けやすい初期成長段階を用いて、これまで評価されていなかった胚発生毒性や曝露後に遅れて現れる遅延毒性を評価できる室内試験法を開発し、河川水の毒性評価と原因物質の推定を行う。さらに、野外での影響を直接評価する現場バイオアッセイ法を開発し、新規殺虫剤等農薬の生態影響を室内・野外で総合的に評価する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、代表的な河川水生昆虫であるコガタシマトビケラの卵から若齢期個体に対する新規殺虫剤の中長期的な影響について、室内および野外で総合的に評価することを目的としている。令和5年度は、①新規殺虫剤の室内毒性試験を実施し、②河川水の全排水毒性試験(WET試験)と遅延影響評価を行った。③新規剤を含む殺虫剤の河川モニタリング及び現場バイオアッセイを実施した。 ①室内毒性試験:被験物質はジノテフラン(IRAC No. 4A)と、新規殺虫剤スルホキサフロル(同4C)、フルピラジフロン(4D)、トリフルメゾピリム(4E)、フルピリミン(4F)とした。トビケラ卵に対して6日間高濃度曝露した結果、ふ化直前まで胚発生は進むが4A、4D、4Eではふ化が完全に阻害された。4Cと4Fでは一部の卵がふ化したが、ふ化幼虫の生存率は低下した。1齢幼虫の急性毒性試験結果では、4Aに比べ、4C、4D、4Eは毒性が低い傾向にあり、4Fは同程度の毒性であると考えられた。 ②WET試験:茨城県の河川Aで採水した河川水の総殺虫剤濃度は0.16~3.6μg/Lで、WET試験の生存率は26~100%であった。これは予測生存率(4.2~100%)と概ね一致した。WET試験後の遅延影響評価により、成長遅延が確認され、IRAC No.1Bの殺虫剤濃度と負の関連性がみられた。 ③河川モニタリングと現場バイオアッセイ:3河川でモニタリングを実施し、いずれの河川でも上記の新規殺虫剤のいずれかを検出した。ただし、4Dは検出されなかった。茨城県の河川Bでは、2022年よりも2023年の方が検出頻度、最高検出濃度ともに増加し、新規殺虫剤の使用量が経年的に増えていると推測された。現場バイオアッセイを河川Bおよび栃木県の河川Cで実施した結果、生存率は67.3~86.0%だった。この期間中の総殺虫剤濃度は0.086~0.27μg/Lであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①新規殺虫剤の卵および1齢幼虫に対する室内試験を実施し、基本的な毒性データを整備した。②コガタシマトビケラ1齢幼虫を用いた河川水のWET試験では、実測生存率が、河川水中殺虫剤濃度と室内急性毒性試験結果を基にした予測生存率と概ね一致し、妥当なWET試験法を確立することができた。また、WET試験の一時的曝露後に現れる遅延毒性を評価するため、遅延影響評価手法を開発し、実際に成長遅延の影響を検出することができた。この成長遅延は殺虫剤1B濃度と統計的に有意な負の関連性が確認されたことから、殺虫剤の中長期的な影響評価にこの手法が活用できることを示した。③河川水中殺虫剤濃度から、現場バイオアッセイの結果は概ね妥当であった。今回実施した現場バイオアッセイでは比較的高い生存率が得られたことから、期間中の新規殺虫剤の河川水中濃度ではコガタシマトビケラ初期成長段階に対して中期的な影響は小さいと推測された。次年度ではこれらの成果を活用することにより、研究目的の着実な達成が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
2つの河川において、パッシブサンプリング法により新規殺虫剤を含めた農薬の河川モニタリングを実施する。コガタシマトビケラ1齢幼虫を用いて、河川水のWET試験と現場バイオアッセイを実施する。WET試験後には遅延影響評価を実施して一時的曝露後の生存率や成長を評価する。現場バイオアッセイにおける生存率と殺虫剤濃度の関連性を解析するとともに、WET試験・遅延影響評価の結果を勘案し、コガタシマトビケラの初期成長段階に対する殺虫剤の中期的影響を総合的に考察する。
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