研究課題/領域番号 |
22K12415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
関 宏範 芝浦工業大学, SIT総合研究所, 准教授 (60533396)
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研究分担者 |
西川 宏之 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40247226)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 海洋マイクロプラスチック / 環境解析評価 / 環境保全 / ナノ粒子化の機構 / 誘電泳動技術 / 大面積化 / マイクロ構造形成 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、環境問題化し注目を浴びている海洋マイクロプラスチック(MP)は波や紫外線の影響を受けて風化を生じさらに微細化する。現在汚染状態を調べるため世界中でニューストンネットなどの物理的な網目ネットにより環境調査が行われているが350μm以下のMPはその網目をすり抜けてしまうためモニタリングができない。本申請者は誘電泳動技術を用いたデバイスの開発に成功し、捕集ができることを確認している。このデバイスを実用的なサイズにするため、ドライフィルムレジストおよび陽子線描画技術を活用し透明なマイクロ構造を有する誘電泳動デバイスを開発する。また、電圧と捕集効率の関係を調べ、実際の水環境下にて効果を検証する。
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研究実績の概要 |
近年、海洋マイクロプラスチックによる水環境の汚染が社会問題化している。この汚染の実態の把握のためには水環境中におけるマイクロプラスチックの簡易な捕集デバイスの開発が重要である。特に350μm以下の小さなマイクロプラスチックはスーパーマイクロプラスチックと定義されるが、このスーパーマイクロプラスチックの捕集は市販のニューストンネットやマンタネット、プランクトンネットの網目サイズ350μmよりも小さいために捕集が困難であることから実態を把握することが難しい。この問題を解決するために誘電泳動現象を用いたスーパーマイクロプラスチックの捕集を行っている。今まで作製してきた捕集を行うためのデバイスの凹凸を形成する誘電体はウエットレジストであるPMMAを用いてきた。しかし、ウエットレジストを用いる場合、成膜工程による膜厚の不均一性が現れるため、電圧を印加した場合に発生する電界勾配の不均一性により、捕集デバイスの信頼性が欠けていた。また、ウエットレジストでは大量生産に向けた大型のデバイスを作製することが困難である。この問題を解決するためにSU-8系のドライフィルムレジストを用いたデバイスの開発を行った。実際にウエットレジストを用いてデバイス作製を行い、電圧を印加したところ、マイクロプラスチックを模した1μmサイズのポリスチレン粒子の捕集を確認した。また、5μmのポリスチレン粒子は捕集ピットから遠ざかることを確認した。これは誘電泳動力の計算の結果、クラウジウスモソッティ関数の実数部が負であることで説明できた。また、2023年度電気学会A部門大会(愛知工業大学)“誘電泳動現象を利用したマイクロプラスチック捕集デバイスへのドライフィルムレジストの適用”論文番号: 8-B-a2-4にて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した計画どおりに実験活動及び報告活動を行っており、また、特に問題など発生していない。
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今後の研究の推進方策 |
実際にドライフィルムレジストを用いてスーパーマイクロプラスチックの捕集デバイスを作製し、1μmのポリスチレンの捕集に成功した。また、5μmのポリスチレン粒子は捕集ピットから遠ざかることを確認した。これは粒径および誘電率、周波数のクラウジウスモソッティー関数の実数の値が負になるためである。実験の結果から捕集の条件によって粒子サイズやマイクロプラスチックの材料の種類の選択性を確保できることが分かった。この誘電泳動現象を用いたスーパーマイクロプラスチックの捕集デバイスの捕集の最適化と様々な粒径や補習する物質の選択制の確保のため、数値計算を行う予定である。
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