研究課題/領域番号 |
22K12430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
藤井 克彦 工学院大学, 先進工学部, 教授 (30333660)
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研究分担者 |
杉山 健二郎 工学院大学, 先進工学部, 講師 (90449041)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 消化汚泥 |
研究開始時の研究の概要 |
そこで本研究では、以下の二つの事項を研究目的として掲げる。 研究目的1:汚泥発酵菌叢の構成微生物をメタゲノム解析で属種レベルまで同定し、どのような酵素を用いて消化汚泥が分解されるのかを明らかにすることで、新しい汚泥資源化技術として菌叢を利用できるかを評価する。 研究目的2:汚泥発酵菌叢と野生藻類を利用し、消化汚泥からのバイオガス直接生産ならびにCO2の固定(資源化)ができる技術について、将来の実用化を目指した基盤研究を行う。
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研究実績の概要 |
下水汚泥は我が国の主要な産業廃棄物であり、その減容手段として嫌気消化法が普及しているが、それでも減容率は30%にとどまり、残り70%は『これ以上は生分解が進みにくい残渣(消化汚泥)』として残存する。最近になって研究代表者は、この消化汚泥を基質としてバイオガスを発酵生産できる嫌気菌叢を取得した。他方、研究代表者は10% 二酸化炭素(CO2)を通気したアルカリ性培養液で増殖する微細藻類も保有しているが、CO2はアルカリ性の水に溶解するので、アルカリpHで生育できる微細藻類の培養液にバイオガスを通すことで、ガス中のCO2の固定化が期待できる。そこで本研究では、消化汚泥発酵菌叢と微細藻類を併用することで、消化汚泥からバイオガスを追加生産し、さらにバイオガスからCO2を除去できる技術の基盤研究を行う。今年度は、汚泥発酵菌叢がどのような加水分解酵素を用いて汚泥を分解しているのかを明らかにした。解析の結果、菌叢からは、少なくともセルラーゼ、キシラナーゼ、キチナーゼ、プロテアーゼ活性が検出され、ホスファターゼ活性も弱いながら検出された。消化汚泥は、生汚泥の可溶性成分がメタン発酵菌叢に消化される後に残る残渣であり、汚泥構成微生物の細胞壁成分である多糖、プロテオグリカン、ペプチドグリカンなどを主成分としている。従って、これらの酵素活性が見出されたことは合理的であると考えられ、さらには、汚泥以外の生物系廃棄物(食品廃棄物等)の消化にも利用できる可能性がある。さらに本年度は、前年度に選抜した野生藻類のDNAを抽出し、18SリボソームRNA遺伝子に基づき属種を同定した。実験の結果、藻類株は、Micractinium属、Chlorella属、Scenedesmus/Tetradesmus属、Desmodesmus属であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究で、当初計画どおり、消化汚泥分解菌叢の酵素プロファイルならびに藻類株の系統解析でデータを得ることができた。研究継続を阻む要因も現時点では見当たらないことから、次年度の研究進展につながると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのデータを基に、ベンチスケールの消化汚泥資源化装置を試作する。装置は、菌叢が汚泥を分解してバイオガスを生産する汚泥発酵槽と、野生藻類によってバイオガスからCO2を除去するガス改質槽から構成される。汚泥発酵槽とガス改質槽の気相を経時的に分析することで、バイオガスからのCO2および硫化水素の除去効率を評価する。
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