研究課題/領域番号 |
22K12433
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 新潟工科大学 |
研究代表者 |
竹園 恵 新潟工科大学, 工学部, 教授 (20288252)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 泡沫を利用する大気汚染物質除去装置 |
研究開始時の研究の概要 |
工場・事業場から排出される粒子状およびガス状物質による大気汚染は、その発生地域だけでなく、国境、大陸を超えて地球規模的な広がりを持つ重要な課題である。本研究では、泡沫を利用する大気汚染物質除去装置の開発を目的とし、捕集媒体となる泡沫の特性の解明、大気汚染物質の除去性能の調査に取り組む。大気汚染物質除去に対する泡沫利用は、使用液量が少なく、圧力損失も低いため、低コスト・省エネルギー・高性能な新しい除去方式となる。本研究の成果は、社会経済活動に伴い発生する固定発生源からの大気汚染の実効的な対策につながるものである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、工場・事業所から排出されるガス中の粒子状物質とガス状物質の同時除去を実現する、泡沫を利用する湿式大気汚染物質除去装置の開発とその性能を明らかにすることである。令和4年度は、これまでの研究で製作した小型の大気汚染物質除去装置(内径0.09 m、高さ0.55 m)を用いて、ガス状物質の除去、すなわち液中への吸収性能を調査した。この装置は、起泡剤(界面活性剤)を含む液中に、処理ガスを吹き込むことにより泡沫層を形成させ、装置上部の消泡装置で泡沫を破壊するものである。安定な泡沫層を形成させるため、回転する消泡装置の上平面に装置内の液を供給し飛散させた。装置内に導入した液の高さは0.05 m(液量318 mL)であったが、ガスの吹込みにより装置内全体が泡沫層となる。この泡沫が充満している装置を用いて、液(泡膜)へのガス状物質の吸収性能を調べた。ガス状物質としてSOxの一つであるSO2を選択し、その吸収液として1%のH2O2を含む界面活性剤溶液を用いた。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤のTritonX-100を用い、濃度を0.1 g/Lとした。ガス吹き込み量は3.8 L/min(ガス速度0.01 m/s)で一定とし、処理ガス中のSO2濃度を1~8 ppmの範囲で変化させた。SO2濃度は、JIS K 0103によるイオンクロマトグラフ法で分析した。装置入口ガス中のSO2濃度と装置出口ガス中のSO2濃度の値から、SO2吸収率を評価した。処理ガス中のSO2濃度を変化させても、SO2吸収率は99.6±0.3%となり、泡沫を利用する本装置の有効性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の令和4年度の計画では、泡沫を利用する本装置において、大気汚染物質となるガス状物質としてSOxとNOxの吸収性能を検討する予定であったが、実際に検討できたガス状物質はSO2のみであった。その主な原因は、ガス中のSO2濃度の分析に使用するイオンクロマトグラフに生じたトラブルの解決に時間を要したことである。メンテナンス業者の都合により、イオンクロマトグラフの点検および修理が大幅に遅れ、実際に処理ガス中のSO2濃度が分析可能となったのは、令和4年度の後半であった。加えて、SO2の標準ガスの納品に時間がかかり、本装置を用いたガス状物質の吸収実験のスタートが遅れてしまった。現在、その遅れを取り戻すべく、NOxの吸収実験に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進のため、詳細な研究計画を立て、研究の進行管理を行う。特に、時間を要すると考えられる、スケールの異なる大気汚染物質除去装置の設計・製作、対象とする大気汚染物質の測定手法の確立、分析装置の立ち上げ等は早めに準備を進める。また、現在までの進捗状況がやや遅れていることから、令和5年度は、複数の大気汚染物質除去装置を使用し、速やかなデータの蓄積に努める。
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