研究課題/領域番号 |
22K12435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
藤原 秀彦 別府大学, 食物栄養科学部, 教授 (10435167)
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研究分担者 |
末永 光 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (90357252)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 水平伝播 / ICE / ビフェニル / 環境汚染物質分解菌 / 環境適応 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝子の水平伝播現象の解明は、環境農学分野や医療分野などにおいて喫緊の課題であ るばかりでなく、進化生物学的にも極めて興味深い生命現象である。しかしながらその情報 は断片的であり、水平伝播現象を予測することも制御することも現状では困難である。そこで本研究課題では、代表者らが保有するモデル微生物の水平伝播にかかる遺伝子群と、機能発現に必要な環境因子、細胞内・細胞間ネットワークなどを網羅的に解析し、データベースの構築とAIによる水平伝播制御システムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究はビフェニル/PCB 分解菌 Pseudomonas putida KF715 株の有する可動性遺伝因子 ICEbph-sal の不安定さをもたらす鍵遺伝子や環境因子等を網羅的に解 析することを目的としている。2023年度は KF715 株のビフェニル分解 (bph) 遺伝子群とサリチル酸分解 (sal) 遺伝子群の周辺に存在する、水平伝播に関わる10の可動性遺伝因子の破壊をゲノム編集技術を用いて試みたが、予想される結果は得られなかった。2022年度報告書には、インテグラーゼと、トランスポザーゼの2遺伝子の破壊に成功したと記載したが遺伝子解析の結果破壊株ではなかった。そこで、2023年度は相同組み換えによる破壊株の作成に変更した。 その結果、bphとsal遺伝子群の間の領域を全て破壊した株の構築に成功した。野生株を栄養豊富な培地で培養すると、容易にビフェニル分解能を欠失した株が得られるが、破壊株はビフェニル分解能の欠失現象がほとんど見られず、明らかにbph遺伝子群の安定性が増大していることが明らかとなった。今後トランスクリプトーム解析を行い野生株との比較を行う予定にしている。一方で、野生株を栄養豊富な寒天培地に植えると、小さなコロニー形成を行う株が得られた。この株は、ビフェニル分解能を有しており、この株を植え継ぐと欠失現象が起こらず安定したbph遺伝子群を有する株が育種された。今後は、この株の再現性を確認し、ゲノム解析やトランスクリプトーム解析による野生株との比較を行っていく予定である。 また、2023年度では分解遺伝子群の遺伝子進化に関する論文執筆を行い報告を行なった 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度では遺伝子破壊株を作成し、トランスクリプトーム解析を行う予定であった。しかしながら現在、ビフェニル分解遺伝子群とサリチル酸分解遺伝子群の間に存在する1遺伝子と、間の全領域の破壊株の取得にとどまっている。理由は、当初予定していたゲノム編集技術による遺伝子破壊がうまくいかなかったため、旧来の相同組換えによる遺伝子破壊に切り替えたため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在破壊株は2株のみではあるが、特に全領域の破壊株は野生株と顕著な表現型の差異を見せている。また、野生株も植え継ぎにより興味深い結果を示している。2024年度はゲノム解析、トランスクリプトーム解析を行い、野生株との比較を行う予定である。
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