研究課題/領域番号 |
22K12436
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
陶山 明子 別府大学, 食物栄養科学部, 教授 (50721437)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 宿主ベクター系 / 偏性嫌気性菌 / 相同組換え / シャトルベクター / 難培養性 / 複製開始点 / 脱塩素化酵素 / ヒドロゲナーゼ / 水素 |
研究開始時の研究の概要 |
テトラクロロエテン(PCE)による土壌・地下水汚染を浄化できる細菌としてDehalococcoides 属細菌やDesulfitobacterium属細菌などの偏性嫌気性細菌が発見され、全ゲノム配列解析が行われている。しかし、これらの細菌は宿主ベクター系などの遺伝子改変システムがほとんどない。そこで本研究ではD. hafniense Y51株を宿主として、偏性嫌気性細菌の機能未知タンパク質の機能解析や遺伝子発現を容易に行うことができる宿主ベクター系の開発を実施する。また環境対策への応用として、開発したベクターを用いた新奇ヒドロゲナーゼの探索と大量発現による水素生産を目指す。
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研究実績の概要 |
本課題は、環境汚染物質であるテトラクロロエテン(PCE)を脱塩素化する偏性嫌気性細菌Desulfitobacterium hafniense Y51株を宿主として、難培養性偏性嫌気性細菌の機能未知タンパク質の機能解析や遺伝子発現を容易に行うことができる宿主ベクター系の開発を行うことを目的としている。 本年度は、まず、ベクター構築を実施した。まず、相同組換えベクター(スーサイドベクター)を構築した。選択マーカーおよび発現用プロモーターを検討するため、以下の各種ベクターを構築した。(1)選択マーカーの選抜:昨年度、作成した相同組換えベクターの選択マーカー(抗生物質耐性)はカナマイシン耐性であったが、今年度そのベクターの選択マーカー部分を入れ替えてアンピシリン耐性、ゲンタマイシン耐性、クロラムフェニコール耐性、テトラサイクリン耐性、エリスロマイシン耐性のいずれかを持つベクター4種を構築した。 (2)発現用プロモーターの選抜: Y51株のトランスクリプトーム解析結果から発現量の高いプロモーターを5種類選び、選択マーカー遺伝子発現のプロモーターとして導入した。構築したこれらの相同組換えベクターは、形質転換条件の検討に使用した。次に、大腸菌-Y51株間のシャトルベクター構築を行った。上記で作成した相同組換えカセット部分(相同領域上流部分、プロモーター、選択マーカー、相同領域下流部分)をoriが異なる4種類のプラスミドに導入した。 また、エレクトロポレーション法による形質転換条件検討を実施した。昨年度構築した相同組換えベクター2種類を使用し、コンピテントセル作成時の培養液OD600、エレクトロポレーションbuffer組成、添加するDNA量、エレクトロポレーション条件(電圧と抵抗値)、回復培養時間について検討した。DNA無添加で同様の実験を行い対照とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選択マーカーと発現プロモーターの検討を実施して複数の相同組換えベクターとシャトルベクターの構築を行い、エレクトロポレーション法の条件検討を実施したことから、おおむね当初の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、構築したシャトルベクターをY51株に導入し、自己複製可能かどうか検討する。自己複製できなかった場合は、他の自己複製遺伝子領域を検討する、または内在性プラスミドを持っているDesulfitobacteriumまたは近縁菌の単離を試みる。また、構築した各種相同組換えベクターを用い、発現プロモーターを選抜する。プロモーターの強さを測定するために、プロモーター下流にpceA(dehalogenase遺伝子)またはFAD結合蛍光タンパク質等を連結する。強く発現するプロモーターを選抜後、シャトルベクターに組込むことで、高発現ベクターを構築する。その他、ゲノム編集用ベクターについてガイドRNAとCas9を共発現するAll-in-oneタイプのベクター構築を試みる。 形質転換法については、エレクトロポレーション法以外の方法についても検討する。塩化カルシウム法、Hanahan法、接合伝達法などについて条件を検討し、効率よい形質転換方法を確立する。 ベクターおよび形質転換法が確立した後、Y51株のゲノム解析結果をもとに機能未知遺伝子を発現させ機能解析を行う実験や、環境対策への応用として偏性嫌気性細菌から新奇ヒドロゲナーゼの探索と大量発現による水素生産実験を実施する。
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