研究課題/領域番号 |
22K12439
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小林 徹 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 特別嘱託研究員 (70202067)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | セシウム / 光吸収断面積 / レーザー / リュドベルグ系列 / レーザーイオン化 / 放射性廃棄物 |
研究開始時の研究の概要 |
レーザーによる放射性元素の選択的イオン化には高い元素選択性が見込まれるが、一般に複数の電子状態を経由する多光子イオン化過程を要するため、高効率化実現には吸収断面積の最大となる電子遷移を採用する必要がある。本研究では、従来報告されていない電子励起状態間の光吸収断面積の測定を行う。
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研究実績の概要 |
令和5(2023)年度の研究計画は、「セシウム原子の第1励起状態6p(2P3/2)からnd系列リュドベルグ準位(7≦n)への励起過程について、その光吸収断面積σの測定を行うこと」である。前年度に整備したセシウム封入加熱石英セルと原子発光観測光学系、および既存の波長可変色素レーザー2台を用いて実験を遂行した。 吸収断面積σの決定は、リュドベルグ準位への励起レーザー強度を変化させて得られる原子発光強度変化を、Burkhardtらによる方法[1]で解析して行った。励起レーザー光強度を変化させるために、減光フィルターセットとレーザー光強度モニター用の光検出器を配置した。原子発光の信号形状は、リュドベルグ状態の発光寿命に従って減衰するため、励起後約700nsまでの信号強度をデジタルオシロスコープで観測した。データ解析に当たり、セシウム原子発光強度およびレーザー光強度ともに700nsまでの値を積算した。 nd系列(n=7~19)について測定・解析した結果、n=11でσが最大であることが判明した。これはn=6でσが最大となるという従来の理論計算の結果とは異なっている。6d状態を外部電界イオン化するためには240kV/cmという莫大な電界強度が必要だが、11dに対しては21kV/cmと10分の1以下になるため、本研究結果により外部電界によるイオン化実現が容易に実現できることが判明した。[2]
[1] C. E. Burkhardt et al., Phys. Rev. A 38 (11), 5949-5952 (1988).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置については、導入後20年を超えて老朽化しつつあるレーザーシステムを使用しているが、大きな故障もなく実験を遂行することが出来た。 原子発光の減衰曲線を解析するた[2] 小林徹、緑川克美 2023年度日本分光学会年次講演会(神戸大学)PI-04めのソフトウェアOriginProを新たに導入した。 これまでに得られた研究成果を学会で発表することが出来た。[2]
[2] 小林徹、緑川克美 2023年度日本分光学会年次講演会(神戸大学)PI-04
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今後の研究の推進方策 |
提案時の計画では、第1励起状態6pからnd系列(7≦n)リュドベルグ準位への光吸収断面積σの測定を行い、σが最大となる準位を確定することが目標であったが、遷移選択律からはns系列(7≦n)リュドベルグ準位への遷移も可能であり、nd系列の場合との比較検討が必要である。そのため新たにns系列に対する実験も行うことにする。 今年は本研究課題の最終年度であるため、得られた研究成果の学会発表や誌上発表を積極的に行う。
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