研究課題/領域番号 |
22K12444
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
垣花 百合子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 学術研究員 (90592014)
|
研究分担者 |
比嘉 充 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30241251)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 1価選択性イオン交換膜 / 塩分濃度差エネルギー / 高出力・高効率 / 1価選択透過性イオン交換膜 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代再生可能エネルギーとして海水などの塩水と河川水などの淡水間に存在する塩分濃度差エネルギー(SGE)が有望であり、SGEを直接電力に変換できる方式としてイオン交換膜(IEM)を用いた逆電気透析(RED)が注目されている。しかし、RED発電(濃淡電池)の高出力化及びエネルギー変換の高効率化を実現するためには内部抵抗となるIEMと流路の低抵抗化が重要となる。本研究ではRED発電に特化した新規1価選択透過性プロファイルイオン交換膜(PF-IEM)の開発を行う。これによりRED発電の実用化を加速させると共にSGEを有効活用した日本の再生可能エネルギーへの利用を目指す。
|
研究実績の概要 |
逆電気透析(RED)発電の実用化には塩分濃度差エネルギー(SGE)を高効率な電力へ変換するための①REDスタック抵抗の低減②スペーサー抵抗の低減③1価選択透過性イオン交換膜(IEM)が必要となる。本研究の目的は、①~③を兼ね備えたIEMスペーサー機能を有する新規プロファイルイオン交換膜(PF-IEM)を開発することである。 本年度は、平膜CEMにプラズマ照射装置を用いて所定時間プラズマを照射後に反対荷電層を形成させるモノマーを重合し、1価選択透過性イオン交換膜(IEM)を作製した。その結果、作製したIEMは、プラズマ照射を行う前の膜(原膜)と比較して4倍程高い1価イオン選択透過性を示した。また、昨年度用いた市販膜より薄い膜に凹凸構造を付与したPF-IEMの作製及びRED発電特性評価を行った。プロファイル陽イオン交換膜(PF-CEM)及びプロファイル陰イオン交換膜(PF-AEM)は熱プレスにより作製した。PF膜セルは、高濃度側流路と低濃度側流路のガスケットにPF-CEMとPF-AEMをそれぞれ組み込み作製した。2つの電極(Ag/AgCl)間にPF膜セルを10対重ねて小型スタック(有効膜面積30cm2/、10対)とした。比較用として平膜でも同様な小型スタックを作製し、この2つのセルを発電評価装置に接続し、模擬海水 (0.5 M NaCl溶液)と模擬河川水(0.017 M NaCl溶液)を通液させ、電流-電圧(I-V)特性及び電流-出力(I-P)特性の測定を行った。この値からRED発電評価装置の内部抵抗及びRED発電最大出力密度をそれぞれ算出した。PF-IEMを用いた場合、平膜と比較すると内部抵抗は62%減少し、最大出力密度は45%高い値を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラズマ照射装置を用いて作製した1価選択透過性IEMは原膜と比較して高い1価選択透過性を示した。市販IEMを用いて作製したPF-IEMのRED発電特性評価から、凹凸構造に起因した内部抵抗の低減及び最大出力密度の向上という結果を得た。これらのことから、本研究の目的である①REDスタック抵抗の低減②スペーサー抵抗の低減③1価選択透過性を有するIEMの3項目を達成したと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでに得られた知見を基にPF形状と1価イオン選択処理の最適化のためのスタック抵抗低減、低膜抵抗、出力向上の条件検討を実施していく予定である。
|