研究課題/領域番号 |
22K12445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
川口 真一 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00722894)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リン酸エステル / 縮合反応 / リン酸 / リンのリサイクル / リン / リサイクル / 持続可能性 |
研究開始時の研究の概要 |
容易にほかのものに変換することができない元素は、元素そのものが重要な資源としての性質を帯びている。リン元素は資源の確保が危惧されている。しかしながら、未利用のリン資源がバイオマスを中心に存在するが、それを使用した工業製品の製造は現状では行われていない。一方で、リン酸エステル等のリン含有工業製品の重要性は、プラスチックの難燃剤の分野を中心に年々高まっている。申請者は、今までほとんど検討されてこなかったリン酸を出発原料にしたリン酸エステルへの変換反応の手法が、リンの工業的リサイクルのブレイクスルーとなると仮説をたて、リサイクル実施時における反応や回収、精製過程の問題解決に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では、リンの工業的リサイクルのブレイクスルーとなるリン酸を出発原料にしたリン酸エステルへの変換反応の手法について研究を進めている。今年度はリン酸とアルコールを用いたリン酸エステルを合成する反応において、リン酸モノエステル、ジエステルが選択的に生成する条件(温度、試薬の割合、反応時間など)を検討し、適切な条件を明らかにした。さらに、アルコールの基質の適応範囲を検討し、芳香族アルコールを用いるとリン酸からリン酸ジエステルが生成することを初めて見出し、論文にまとめた。さらに、工業的な利用を目指すため、ジアリールリン酸合成のスケールアップを進め、100gスケールでの合成を達成している。また、工業リン廃液からも同様の検討を行い、リン酸とアルコールを用いたリン酸エステルを合成する反応において、NaClなどの無機塩が混入すると反応が著しく阻害されることを明らかにした。その結果、無機塩を取り除くなどの検討を進め、好悪業廃液からでも100gスケールでの合成を達成している。本スケールでの合成においては精製が大事である。合成スケールが大きくなると、精製時における手段が限られる。本研究では最もコストが安価な方法の一つである、分液による精製を主に行い、99.7%の純度で目的物を得ることに成功している。現在は、次なるリン資源としてフィチン酸に着目し、反応や精製の条件を検討している。生成物のリン酸エステルの難燃剤や乳化剤としての利用についても検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初の目的であるリン酸をリン源として用いたリン酸エステルの合成を100グラムスケールで達成した。また、アルコール基質の適応範囲を詳細に調べ、また対照試験により、反応経路を調べ、論文に掲載されるところまで研究が進んでいることから順調に進捗しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、植物由来リン源であるフィチン酸をリン源としたリン酸エステル合成反応を中心に検討する。反応条件の検討や精製条件の検討を進める。そして工業利用できるようスケールアップ及び、スケールアップに適した精製条件等も検討する。
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