研究課題/領域番号 |
22K12450
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
手束 聡子 千葉科学大学, 危機管理学部, 准教授 (70435759)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 層状複水酸化物 / コンクリート / 水質浄化 / 環境材料 / 多孔質 / 多孔体 / 生物多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、硝酸イオンやリン酸イオン選択吸着性をもつ 層状複水酸化物(LDH)をポーラスコンクリートに混和した LDH 混和ポーラスコンクリート(LPOC)を、海藻草類の生育基材とする栄養元素循環システムの構築を目的している。これは、LPOC が海水から栄養元素(N,P)を回収した後、栄養元素を海藻草類に供給し、再び海水から栄養元素を回収して再生する仕組みであり、海藻草類の繁茂への効果のみならず、生物多様性の効果,水質浄化の効果,炭素固定の効果等の環境修復・保全技術の発展に寄与する成果となる。
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研究実績の概要 |
日本の沿岸海域は豊かで多様な生態系が育まれている。沿岸海域に繁茂する海藻草類は、種々の海洋生物の餌料であるほか、魚介類の産卵場や成育の場となるとともに、富栄養化の要因である窒素やリンを体内に取りこみ、水環境を浄化する機能を有している。さらに、空気中から海に溶け込んだ二酸化炭素を吸収し、光合成により酸素として排出する二酸化炭素固定効果もある。そのため、生物多様性の効果,水質浄化の効果,炭素固定効果を維持するため、海藻草類が繁茂する水環境を修復・保全する技術の開発が重要な課題となっている。 本研究は、海藻草類の栄養源となる硝酸イオンやリン酸イオンを選択的に吸着する層状複水酸化物(LDH)をポーラスコンクリートに混和した LDH 混和ポーラスコンクリート(LPOC)を介在し、海水から供給される栄養元素(N, P)を海藻草類が吸収し成長するとともに、海水から栄養元素を回収して LPOC が再生する、栄養元素の自動循環システムの構築およびその効果の検証を目的としている。 本年度は、一般的なMgとAlを構成元素とするMg-Al-Cl型LDH を混和したLPOCを作製し、LPOCの陰イオン吸着特性について基礎的なデータの収集をおこなった。まず、ポーラスコンクリートとLDHとの適切な配合比について検討を行なった。さらに、LPOCの陰イオン吸着性能の評価を行った結果、LPOCはLDHと同様に硝酸イオンを選択的に吸着できることがわかった。また、LDHのイオン交換能はポーラスコンクリートに混和しても維持できるが、イオン交換速度は遅くなることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、一般的なMgとAlを構成元素とするMg-Al-Cl型LDHを混和したLPOCを作製し、LPOCの陰イオン吸着特性について基礎的なデータの収集をおこなった。ポーラスコンクリートとLDHとの適切な配合比や人工海水による海藻草類の栄養源となる硝酸イオンの吸着特性についての知見を得たことから、計画通り順調に進展していると言える。一方で、海水による実証実験を行う設備の準備については、予定していた場所での準備が難しくなったため、代替えとなる設備について再検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、海藻草類の栄養源となる金属を含むLDHを混和したLPOCを作製し、人工海水を用いて陰イオン吸着特性について基礎的なデータを収集する計画である。また、海水による実証実験を行う設備の準備ができ次第、LPOCの海藻草類の付着について検証する計画である。
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