研究課題/領域番号 |
22K12457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 新居浜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
喜多 晃久 新居浜工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (00555162)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 共生系 / キチン付着短桿菌 / 難培養未知微生物 / 短桿菌 / 球菌 / 微生物共生システム / バイオプロセス / 合成菌叢 / キチン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、海洋性キチン分解菌叢(微生物の集合体)からキチン分解に関与する未知微生物群を単離し、人工的に合成菌叢を構築する。次いで、構築した合成菌叢を用いて、共生系によるキチン分解機構を遺伝子発現および代謝の観点から解明する。また、合成菌叢による未処理エビ殻からの有機酸連続培養システムを構築し、得られた有機酸を二段階発酵によりメタンや高機能化学品に変換することによって、微生物共生系によるバイオプロセスのモデル系を構築する。
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研究実績の概要 |
これまでの研究において、キチン分解菌叢のキチン分解に関与する微生物の増殖は、他の微生物との共生が必須であり、単独で単離することが困難であると推測された。そこで、昨年度はこれまでのように単一の微生物の単離を試みるのではなく、限界希釈法および抗生物質の添加による菌叢構造の単純化を試みた。本年度は、昨年度までに単純化を試みた菌叢を用いて、さらに限界希釈法と抗生物質添加を繰り返した。最終的にカナマイシンとテトラサイクリンを同時に添加した菌叢(以降、S6-KT菌叢)において、良好なキチン分解および増殖が確認できた。オリジナルのキチン菌叢においては、培養5日~7日でキチンの完全分解が確認できたが、S6-KT菌叢においては3日~5日でキチンの完全分解が確認できたため、菌叢を単純化したことにより、キチン分解に直接関与しない夾雑菌が排除され、キチン分解効率が向上した可能性が示された。また、顕微鏡観察の結果、これまでと同様にキチンに付着した短桿菌の確認もできた。そこで、得られたS6-KT菌叢の菌叢解析を行った結果、以前のオリジナル菌叢の解析で最大158種類確認できた菌叢構成菌の種類が、16種類まで減少しており、当初の目標としていた90%以上の単純化を達成できたと考えた。特に存在比1%未満の構成菌の種類がオリジナル菌叢の138種類から8種類と大幅に減少していたため、大多数の夾雑菌の排除に成功したと考えられる。一方、S6-KT菌叢にはオリジナル菌叢において重要な優占種だと考えられていたChristensenella属が見当たらず、代わりにUncultured Clostridiales目およびUncultured Bacteroidales目の未知微生物が優占種として確認できたため、限界希釈法や抗生物質添加によるストレスによって菌叢構造が変化した可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
キチン分解に関与する微生物の単離または菌叢構造の単純化は、本研究において重要な課題である。本年度は、昨年度から引き続いて限界希釈法や抗生物質の使用よる菌叢構造の単純化を試み、オリジナル菌叢と比較して菌叢構成菌が90%以上単純化されたS6-KT菌叢を構築することができたた。これにより、代謝解析においてキチン分解に直接関与しない夾雑菌によるノイズを排除することが可能となった。一方で、当初計画していたトランスクリプトーム解析またはメタボローム解析によるキチン代謝機構の解析までには至っていないことから、区分を「やや遅れている」と総括した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度構築することができたS6-KT菌叢を用いて、トランスクリプトーム解析またはメタボローム解析を行い、共生系による嫌気的キチン分解機構を明らかにしていく。また、当初の計画通り、単純化したS6-KT菌叢を用いて、ジャーファーメンターによる未処理エビ殻からの有機酸連続生産システムの構築を試みる。
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