研究課題/領域番号 |
22K12460
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 志保 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (60432340)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 温暖化 / 貧酸素化 / 浅海域 / 二枚貝 / ハザードモデル / 閉鎖性海域 / 極浅海域 / 貝類生残率 |
研究開始時の研究の概要 |
浅海域は気温上昇の影響を受けやすく,温暖化が進行すると貧酸素化の底生生物への影響は大きくなることが予想される.本研究では間欠的に貧酸素化する浅海域に生息する底生生物のうち貝類の斃死リスクに温暖化が及ぼす影響を定量的に評価する.まず内湾の浅海域における周期的な貧酸素化を再現した水槽で飼育実験を行ない,複数の水温条件下における底生貝類の生残率を調べる.次に高解像度の沿岸海洋モデルを作成して温暖化影響下における浅海域の水温と溶存酸素濃度を予測し,底生貝類の生残率の将来変化を調べる.浅海域は様々な生物の採餌場・保育場としても重要であるため,本研究の成果は海洋生態系に対する温暖化影響の定量評価に役立つ.
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研究実績の概要 |
水深数メートルの浅海域では海底まで光が届き昼間は光合成が行われるため極端な貧酸素化や持続的な貧酸素化のリスクは低い一方,底層まで水温が高くなりやすいため温暖化が進行すると弱い貧酸素化や間欠的な貧酸素化であっても底生生物への影響は大きくなることが予想される.本研究では弱い貧酸素化の見られる浅海域に生息する底生生物のうち貝類の斃死リスクに温暖化が及ぼす影響を定量的に評価する.まず内湾の浅海域における貧酸素化を再現した水槽で飼育実験を行ない,複数の水温条件下における底生貝類の生残率を調べる.次に高解像度の沿岸海洋モデルを作成して温暖化影響下における浅海域の水温と溶存酸素濃度を予測し,底生貝類の生残率の将来変化を調べる. 令和5年度には,令和4年度にも実施した二枚貝養殖環境を調べるための現地観測,養殖イカダにおける水温・塩分・クロロフィル濃度・溶存酸素濃度の自動観測データの解析をさらに進め経年変化を調べるとともに、令和4年度には実施できなかった溶存酸素濃度の日周変動のある水槽を作成し,前年度の結果を補うことのできる条件を設定したトリガイ飼育実験を行なった。ハザードモデルを用いた解析の結果、溶存酸素濃度が2~4 mg/Lの弱い貧酸素条件下においては水温、溶存酸素濃度、殻長の順にトリガイ生残率への影響が大きいことが示された。海域における水温の鉛直分布、溶存酸素濃度の極小層およびクロロフィル極大層の形成される深度は季節によって異なっており、成層期である7~8月には14m以深、冷却混合期となる9月には4 m以浅におけるトリガイ生残率が最も高くなるという結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに進んでいるため
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今後の研究の推進方策 |
令和5年1月1日に発生した能登半島地震により、本研究に必要な現地観測、飼育実験、現場環境自動観測を行なっていた石川県水産総合センターが大きな被害を受け、復旧の見通しはたっていない。このためデータを補う現地観測およびトリガイ現場飼育実験を実施できない可能性が高いが、令和6年度には,これまで得られたデータを解析し、対象海域の流動・貧酸素化予測モデルの作成,パラメータ調整を行なう予定である.
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