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熊本県で連発する自然災害が沿岸・河川生態系に与えた正と負の影響の総合評価

研究課題

研究課題/領域番号 22K12463
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分64040:自然共生システム関連
研究機関熊本大学

研究代表者

山田 勝雅  熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (80569195)

研究分担者 新垣 誠司  九州大学, 理学研究院, 准教授 (10452963)
小森田 智大  熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (10554470)
逸見 泰久  熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 教授 (40304985)
吉野 健児  国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 室長 (40380290)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード自然災害 / ハビタット創出 / 沿岸生態系 / 時間的不変性 / 群集軌道 / Eco-DRR / メタ生態系 / 自然再生 / GIS
研究開始時の研究の概要

自然災害は「生態系を消失」させたのと同時に,新たなハビタット(異なる性質の生態系)の創出も成している.すなわち,「自然再生」と「自然災害」は正と負の双方を有した表裏一体の関係にある.本研究は,熊本県における自然災害の連発によって改変が起こった沿岸・河川生態系について,どのような生態系改変が起こったのか,災害地の動植物群の群集動態を基にマップ(GIS)ベースで整理することによって,熊本県で連発した自然災害(地震・氾濫)が水圏生態系に与えた正と負の影響を景観生態学的観点から定量評価する.

研究実績の概要

2016年4月 熊本地震による被害復興が現在も続く中,熊本県を中心とした北部九州は追い打ちをかけられるように,2019-2020年の夏季の酷暑に続き,2020-2021年と連年で起きた7月の熊本豪雨災害と自然災害を次々と連続的に受けた.
自然災害後の生態系で受ける影響は,必ずしも「負の効果」だけではない.災害によって裸地(更地)となったエリアに,水害等で流れ込んできた今までとは異なる生態系に属する植物や動物が繁殖をはじめ,新たな生態系が生み出される場合がある.生み出された生態系はモザイク状に性質の異なる生態系を織りなし,相互作用のあるメタ生態系を作り出す場合もある.言い換えれば,自然災害という大攪乱は「生態系を消失」させたのと同時に,新たなハビタット(異なる性質の生態系)の創出も成しているのだ.すなわち,「自然再生」と「自然災害」は正と負の双方を有した表裏一体の関係にある.しかし,これまでの景観生態学的研究では,自然災害は「負の効果(生態系の崩壊)」ばかりが注目され,「正の効果(生態系の創出)」は積極的に扱われず,正負の2つの効果の定量評価を行うという発想は乏しい.
本研究は,熊本県における自然災害の連発によって改変が起こった沿岸・河川生態系について,どのような生態系改変が起こったのか,災害地の動植物群の群集動態を基にマップ(GIS)ベースで整理することによって,熊本県で連発した自然災害(地震・氾濫)が水圏生態系に与えた正と負の影響を景観生態学的観点から定量評価した.災害前後の沿岸・河川生態系エリアの変化を定量化した結果,熊本震災によるがけ崩れによって創出されたと考えられる天草の岩礁潮間帯など,いくつか災害によって創出された生態系が抽出され,周辺生態系への正負の効果についての検証が行われた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2016年の熊本震災以前の熊本県の沿岸(藻場・干潟・岩礁)・河川生態系の衛星写真,航空写真,生物相を,県や国水研の報告書等より,GISベースで得られたマップデータをもとに,2016年以降(熊本震災),自然災害[地震・酷暑(干ばつ・植生衰退)・水害(土砂崩れ含)]が発生した場所を重点地区として,主にドローン撮影,現地調査等によって,面積等が変化した各生態系(局所生態系)をトレースし,災害前後の生態系エリアの変化を定量化した.その結果,熊本震災によるがけ崩れによって創出されたと考えられる天草の岩礁潮間帯など,いくつか災害によって創出された生態系が抽出された.一方で,地盤沈下や干ばつ等のがけ崩れ以外が生じた地域では,生態系は災害後速やかに回復している傾向も見られた.

今後の研究の推進方策

抽出された熊本震災のがけ崩れによって創出されたと考えられる天草の岩礁潮間帯は今後の生物相(遷移)追跡の重点調査区とし,引き続き,近隣生態系間での群集構造の重複等の観点から,生態系間の連結性の解析を行う.また,この創出された生態系が「防災」の機能を担う可能性があるかを検証する.さらに,地盤沈下や干ばつ等のがけ崩れ以外が生じた地域での生態系の速やかな回復傾向が検出されたさらにデータを追加して検証する.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Food Web Structures and Mercury Exposure Pathway to Fish in Minamata Bay2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshino, K., Yamada, K., Kanaya, G. et al.
    • 雑誌名

      Archives of Environmental Contamination and Toxicology

      巻: 85 号: 4 ページ: 360-373

    • DOI

      10.1007/s00244-023-01040-y

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 有明海に面する緑川河口干潟においてエイ類による捕食がアサリ個体群に及ぼす影響の定量的評価2023

    • 著者名/発表者名
      本田陸斗, 山北剛久, 山田勝雅, 山下奈々, 小森田智大
    • 雑誌名

      日本ベントス学会誌

      巻: 28 ページ: 22-27

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of salinity, temperature, and immersion conditions on seed germination of invasive Spartina alterniflora Loisel (smooth cordgrass) in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Matsuda Ryuya、Yamada Katsumasa、Hayasaka Daisuke、Henmi Yasuhisa
    • 雑誌名

      Regional Studies in Marine Science

      巻: 57 ページ: 102738-102738

    • DOI

      10.1016/j.rsma.2022.102738

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 基礎生産培養実験と係留系を用いた河口干潟における時間解像度の高い底生微細藻類と植物プランクトンの基礎生産量の定量2023

    • 著者名/発表者名
      尾崎竜也,小森田智大,中津伸彬,馬込拓海,山下奈々,本田陸斗,田井 明,山田勝雅
    • 雑誌名

      月刊海洋

      巻: 56 ページ: 156-164

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 係留系による高頻度観測とタンク法を併用した底生微細藻類の基礎生産量の定量と現場法の検証2022

    • 著者名/発表者名
      尾崎 竜也, 小森田 智大, 山田 勝雅, 田井 明
    • 雑誌名

      土木学会論文集B3(海洋開発)

      巻: 78 号: 2 ページ: I_655-I_660

    • DOI

      10.2208/jscejoe.78.2_I_655

    • ISSN
      2185-4688
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Life‐history traits of the endangered mud snail <i>Batillaria multiformis</i> in their northern limit population in Mutsu Bay, Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Kanaya Gen、Yamada Katsumasa、Itoh Hajime、Igarashi Takeshi
    • 雑誌名

      Ecological Research

      巻: 37 号: 6 ページ: 753-767

    • DOI

      10.1111/1440-1703.12347

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 岩礁潮間帯生物群集の集合規則:加入と遷移パターンから2023

    • 著者名/発表者名
      山田勝雅, 前川勝哉, 山本 智子, 逸見泰久
    • 学会等名
      三学会合同熊本大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 八代海南部海域(水俣湾)における植物プランクトンの基礎生産量と沈降フラックスの季節変化2023

    • 著者名/発表者名
      小森田智大, 中村双葉, 田中智己, 一宮睦雄, 山田勝雅, 金谷弦, 吉野健児
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 緑川河口干潟におけるエイ類によるアサリへの捕食量の定量的評価2023

    • 著者名/発表者名
      本田陸斗, 山北 剛久, 山田 勝雅, 山下 奈々, 小森田 智大
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 昼潮期と夜潮期で底生微細藻類と植物プランクトンの基礎生産の量比は異なるのか?:緑川河口干潟における事例2023

    • 著者名/発表者名
      尾崎竜也, 小森田智大, 中津伸彬, 馬込拓海, 山下奈々, 本田陸斗, 山田勝雅, 田井 明, 比嘉紘士
    • 学会等名
      2023年度日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] カイヤドリウミグモは宿主二枚貝が死ぬとどうなるのか2023

    • 著者名/発表者名
      冨山 毅, 山田勝雅, 玉置雅紀, 宮﨑勝己
    • 学会等名
      2023年度日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 国内最大面積の干潟(九州:荒尾干潟)における底生生物群集の集合規則とその空間スケール依存性2022

    • 著者名/発表者名
      山田勝雅, 北口晃陽, 逸見泰久
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2022年大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 熊本県に侵入したヒガタアシの分布拡大と防除の現状2022

    • 著者名/発表者名
      松田竜也, 山田勝雅,逸見泰久
    • 学会等名
      2022年度日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 沿岸域・汽水域生態系における人間活動の影響を歴史生態学で評価する2022

    • 著者名/発表者名
      宮本康, 山田勝雅, 山本智子
    • 学会等名
      2022年度日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 係留系による高頻度観測とタンク法を併用した底生微細藻類の基礎生産量の定量と現場法の検証2022

    • 著者名/発表者名
      尾崎竜也, 小森田智大, 山田勝雅, 田井明
    • 学会等名
      第47回海洋開発シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 水俣湾における底生生物を中心とする食物網構造と水銀汚染経路2022

    • 著者名/発表者名
      吉野健児, 山田勝雅, 金谷弦, 岡本海, 多田雄哉, 田中正敦, 逸見泰久, 山元恵
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2022年大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 有明海・八代海が有す生物多様性保全と海洋資源の持続的利用の共存の糸口を見出す

    • URL

      https://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/katudou/SDGs/action/1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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