研究課題/領域番号 |
22K12467
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
河内 香織 近畿大学, 農学部, 講師 (50423984)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 食性変化 / オイカワ / 消化管内容物 / 魚類 / 外来魚 / 在来魚種 / 安定同位体比分析 / 河川生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、過去の魚類標本を活用してその消化管内容物と安定同位体比を解析することによって、現在採捕される同種の解析結果とあわせることで、外来魚の侵入前後における在来魚の食性;何を摂食しているか、何を体組織に取り入れているか、の変化について明らかにすることを目的とする。奈良県を流れる布目川には雑食のアメリカナマズが、吉野川には肉食のコクチバスが侵入している。本研究では、在来魚類への影響が大きいと考えられるこれら2種が侵入する前後の在来魚類の食性解析を実施することにより、在来魚類をめぐる河川環境の変遷について餌資源の面から考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、過去の魚類標本を活用してその消化管内容物を解析することによって、現在採捕される同種の消化管内容物の解析結果とあわせることで、外来魚の侵入前後における在来魚の食性の変化について明らかにすることを目的とする。 2022年度は、淀川水系の魚種を対象として研究を実施した。サンプルの確保には大阪府立環境農林水産総合研究所生物多様性センターの協力を得た。比較した期間は1993年1994年(以降1990年代と表記)の9月から10月と、2022年の9月から10月の2つの期間である。季節とサンプリング地点、魚体サイズはそれぞれの調査年代で可能な限り合わせた。魚種は、1990年代にサンプルがある魚種のうち、さらに2022年にも採捕できた魚種とした。調査場所は本川の上流、中流、下流に区分し、上流はコウライモロコ、オイカワ、中流域はコウライモロコ、オイカワ、カマツカ、下流域はコウライモロコ、オイカワに決定した。1990年代のホルマリンサンプルは前処理後消化管を開き内容物を取り出して、顕微鏡下で内容物の同定とカウントを実施した。背部の筋肉を採取して前処理を行い、窒素安定同位体比分析に使用した。2022年のサンプルも上記に準じて処理した。採捕数の多かったオイカワは、中流下流ともに2022年は1990年代と比べて陸生昆虫の占める割合が増加していた。オイカワの窒素安定同位体比は、下流域では2022年に平均値が下がったが統計的に有意ではなかった。コウライモロコは2022年の採捕数が3から6個体であったが、下流では2022年のサンプルにおいてユスリカの占める割合が減少していた。カマツカはユスリカや陸生昆虫の占める割合が2022年のサンプルにおいて減少していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
淀川水系の過去のサンプルとしては、コウライモロコ、コウライニゴイ、カマツカ、オイカワ、ハスなどを選定して消化管内容物の調査まで実施している。2022年のサンプリングでは、コウライモロコ、コウライニゴイ、ハスなどの採捕数が少なかったことから、これらの魚種については2023年の9月と10月に再度重点的に採捕が必要である。安定同位体比分析用の個体については、1990年代の個体は前処理まで終了している。 吉野川紀の川水系のサンプルについては、和歌山県立自然史博物館にて標本を見せていただいたが、サンプルの状態から消化管の内容物を特定することは困難と判断した。一方で淀川水系では、上流、中流、下流にまたがり1990年代のサンプルが見つかったことから、淀川のサンプルを重点的に調査研究したほうが効果的であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
淀川水系において2022年度に採捕数が少なかった魚種について引き続き採捕を試みるとともに、安定同位体比分析を順次進めていく。
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