研究課題/領域番号 |
22K12468
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
江川 知花 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (10765019)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 生物多様性 / 侵略的外来種 / ガーデニング / 都市化 / 自然植生 |
研究開始時の研究の概要 |
侵略的な外来園芸植物の野生化が、しばしば在来植物の衰退を引き起こすことはよく知られている。一方、後者が前者を助長する可能性、すなわち、在来の草花の減少が人々の園芸意欲や美しい園芸種に対する価値認識を高め、結果として外来園芸植物の野生化機会をさらに増やす可能性は、これまでほとんど見過ごされてきた。本研究ではこの可能性を検証し、外来園芸植物の栽培地外への逸出と野生化を抜本的に防ぐ上で有用な知見を提供することを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究では、都市域から郊外まで、自然植生の残存量の異なる様々な地域における外来園芸植物の逸出状況を把握するとともに、外来園芸植物が庭や花壇を逸出して栽培地外で生育する(野生化する)ことに対する人々の認識を明らかにし、外来園芸植物の野生化を防ぐ上で有効な方策について検討する。 本年度は、昨年度に引き続き5月から6月の園芸植物の花期シーズンに、東日本の8地点において外来園芸植物の逸出状況および園芸量販店における販売状況を調査した。その結果、これまでに調査した地点と同様、多くの外来園芸植物の逸出が確認された。さらに、庭や花壇外に逸出している種の数や構成は、地域によって偏りがある傾向があることが見出された。逸出が確認された種の一部は園芸センターで現在も販売されていたが、逸出が特に高頻度で確認された種の多くは、現在は販売されていない種であった。上記の調査に加え、外来園芸植物が庭や花壇以外の場所に生育することに対する人々の認識を明らかにするためのウェブアンケート調査の設計を行った。アンケート調査は、次年度に実施する予定である。 研究を遂行する上で、園芸植物としての流通名から種を同定することが難しいケースが多々あることが課題となっている。また、フラワーミックスシード等として複数種の種子が種名をすべて明記せずに販売されている場合があり、こういったケースでは実際に種子を蒔いて栽培した上で種の特定を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、本年度の2年間で東日本18地点において外来園芸植物の逸出状況を把握することができ、サンプリングが順調に進捗した。一方、当初本年度に実施を予定していたウェブアンケートについて、設計に時間を要するため実施を次年度に遅らせることにした。また、市場流通している種の把握に時間がかかっていることから、全体的な進捗としては、予定よりもやや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
外来園芸植物の逸出および販売状況について、さらに調査地点を増やし、サンプルサイズを拡大する。特に、関東の都市圏から離れ、自然植生の多く残る地域におけるサンプリングを重点的に行う。さらに、外来園芸植物が庭や花壇以外の場所で花を咲かせているを見た際にどのように感じるかを尋ねるウェブアンケートを全国規模で実施し、外来植物の野生化に対する一般的な認識を明らかにする。以上の調査の結果を統合し、外来植物の野生化がどの程度進行しているか、進行度合いに地域はあるか、外来園芸植物が野生化していることに対して人々はどのような認識を持っているか、その認識の形成に都市化に伴う自然植生の減少が関係しているかどうかを検証する。
|