研究課題/領域番号 |
22K12471
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部) |
研究代表者 |
相子 伸之 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主幹研究員 (30443526)
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研究分担者 |
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
近藤 美麻 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 副主査 (40737590)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マイクロプラスチック / 淀川 / 淡水産二枚貝 / 淡水魚 / ワンド / 食物連鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの調査で、大阪府を流れる淀川で栄養レベルが比較的低い底生生物食性の生体内にマイクロプラスチック(MPs)が含まれることが明らかになった。これらの生物の汚染から、食物連鎖などを通じてMPsが移行し、高次の捕食者まで汚染が拡大する可能性があるが、食物連鎖や寄生などの生物間相互作用とMPs汚染の関係性は明らかになっていない。そこで、本研究では淀川の淡水魚類の体内に含まれるMPsを調査し、MPs汚染実態を明らかにするとともに、飼育環境下で魚類へのMPsの暴露試験を行い、その結果と合わせて河川生態系における食物連鎖などのつながりによるMPsの生物間の移行性および蓄積性について明らかにする。
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研究実績の概要 |
自然界の様々な場所からマイクロプラスチック(以下、MPs)が検出されている。国内有数の生物多様性を誇る淀川では、底質中に多くのMPsが蓄積していることが明らかになっており、また栄養レベルが比較的低い底生生物食性の生体内からもMPsを検出した。本研究では淀川を対象として多種多様な魚類や水生生物種の体内に含まれるMPsを調査し、MPs汚染実態を明らかにするとともに、飼育環境下でのMPsの暴露試験を行い、その結果と合わせて河川生態系における食物連鎖などのつながりによるMPsの生物間の移行性および蓄積性について明らかにすることを目的としている。 本年度は、淡水産二枚貝へのMPsの暴露試験、特に小径のMPsの影響を検証するための試験設計を行った。 シジミ類に2、20、および100マイクロメートルの蛍光MPsビーズ(PS製)を暴露し、MPs を含まない飼育水に移したのちに経時的に解剖し、エラとその他の軟体部に分けて器官内の蓄積量を調べた。その結果、いずれのサイズのMPsビーズも暴露直後にはエラとその他の軟体部のどちらでも確認できたが、その多くはその他軟体部で見られた。また、サイズがより小さくなるほど多くのMPsビーズが確認され、エラでは小径の2マイクロメートルのMPsビーズは1個体あたり数万~数十万個、その他軟体部では数千万個と見積もられた。一方、720時間経過後は、エラで20、100マイクロメートルのMPsビーズは確認されなかったが、2マイクロメートルは1個体あたり数千個が残留していた。また、その他軟体部では100マイクロメートルのMPsビーズは確認されず、20および、2マイクロメートルでそれぞれ1個体あたり数個、および数千~1万数千個が残留していた。これらのことから、淡水産二枚貝はMPsビーズを濾過摂食し、その一部、特に小径のMPsを体内に蓄積することが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MPsの取込と蓄積を検証するため、MPsビーズの暴露試験として、軟体部の有機物分解、および蛍光顕微鏡による定量を行う試験系を設計し、淡水産のシジミ類を対象とした試験を実施することができた。現在、この試験系を応用し、タイリクバラタナゴの暴露試験も実施している。 また、大型の肉食魚へのプラスチックの取込の実態を検証するため、淀川の淡水域のワンドおよび本流において魚類を採捕し、この腸管や肝臓などの器官を試料としてそこに含まれるMPsの分析をするための準備を進めている。大型魚種の肝臓は大きく、油分を非常に多く含んでいるため、有機物分解が困難であったため試験に若干の遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
暴露試験では、引き続き現在実施中のタイリクバラタナゴの試験の分析を行う。また、捕食による移行性および蓄積性の実験系を設計する。一方で、淀川の食物連鎖を意識して、ワンドや本流から様々な魚類を採取するとともに、器官ごとのMPsの蓄積を検証する。加えて、過去に採取した魚類の標本からもMPsの取込と蓄積について検証する。大型魚種の分析に際し、有機物分解等の前処理方法などの改良を検討する。
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