研究課題/領域番号 |
22K12479
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
|
研究機関 | 新潟工科大学 |
研究代表者 |
今田 剛 新潟工科大学, 工学部, 教授 (60262466)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | パルス大電力 / 水処理 / 植物栽培 / 生体影響 |
研究開始時の研究の概要 |
パルス大電力を水中に注入すると水が瞬時に加熱され微細泡が発生する。微生物や菌類が、この泡が破裂する際に生ずる衝撃波に暴露されると不活化され水が浄化処理される。この処理法の研究開発状況は微生物の不活化の特性解明や実証実験が中心であり、循環する水環境の保全を鑑みた処理水の二次利用まで含めた学術的で系統的な検証は不十分である。本研究では処理後の水が他の水中生物の生存環境に与える影響評価や植物栽培への適用の可否について吟味することを目的とする。パルス大電力注入と処理水の化学的および物理的な性質の関係の解明を行い、その後、実際の処理水が水中生物の生存環境や植物栽培に与える影響を検討する。
|
研究実績の概要 |
パルス大電力を水中に印加することにより水中の菌類や微生物を不活化処理できることが知られている。本研究では、この処理した後の水(以後、処理後水と呼ぶ)が水中生物の生存環境に与える影響や植物栽培への適用の可否について吟味することを目的とし、パルス大電力注入における処理後水の化学的および物理的な性質の関係の解明および処理後水が水中生物の生存環境や植物栽培に与える影響の検討を進めている。今年度は、処理後水による植物の生育および水中生物の生存について検討した。 まず、処理後水の栽培や飼育への適用性を検討するため、水質を評価した。pHは農林水産省の示す農業用利水の指針の6.0~7.5の範囲内で、パルス大電力を印加しても変化しないことがわかった。一方、溶存酸素は、若干、低下する傾向にあったが、指針の5mg/Lは上回っている。pHと溶存酸素の二つの観点からは、処理後水は農業利用の基準を満たしている。 植物の生育においては、緑豆もやしを栽培対象とし、純水、水道水、純水を原料水とした処理後水および水道水を原料水とした処理後水の4種の水について、収穫されたもやしの重量、長さおよび水分率などを比較検討した。もやしの種800個を4種の水において栽培したところ、どの水においても、重量(収穫量)は320g程度、長さは5cm程度および水分率は85%以上となった。処理後水において水道水や純水と同等に栽培できることがわかった。 水中生物の生存においては、小型の甲殻類であるアルテミアの孵化および生育を検討した。人工海水に約200個のアルテミア休眠卵を懸濁し、26℃の水温を維持し、41時間後に孵化した個体数を計数した。また、孵化1週間後の生存状況を観察した。孵化率はパルス大電力の印加の有無にかかわらず60%程度であった。一方、処理後水では生存率が20ポイント程度低下した。この原因は現在のところ不明である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機器や部材等の調達状況が改善され、研究計画どおりの進捗に戻っている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの研究成果を発展させ、現実を鑑みた検討評価も進めていく。すなわち、濁水などでのパルス大電力処理後水の特性評価およびその処理後水による植物の生育および水中生物の生存について検証する。
|