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私有林経営における森林資産評価の基準・プロセスの実態解明と統合可能性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K12493
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

大塚 生美  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究専門員 (00470112)

研究分担者 丸山 佳久  中央大学, 経済学部, 教授 (10342312)
堀 靖人  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究専門員 (80353845)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード森林投資 / 森林評価 / 競売評価人 / 競売評価基準 / 不動産鑑定士 / SEEA2012-CF / 社会資本 / 日独米 / 森林資産評価 / 森林経理 / フォレスト・ファイナンス / フォレスト・アセット・マネージャー / フォレスト・オペレーター / 森林資産 / 林業経営 / ドイツ / アメリカ
研究開始時の研究の概要

海外では森林所有者にかわり、金融機関などの機関投資家によって林業への投資が積極的行われている。他方、日本ではこうした動きは低位である。その理由として、林業の採算性悪化とともに、森林資産価値の評価方法が不透明であることが,森林所有者の林業経営意欲を低下させ、外部からの投資をも阻んできたことを我々は明らかにしてきた。本研究では,超高齢社会において問題が深刻化する私有林を対象とし、森林評価の実務を担う森林所有者・経営者側と森林評価者側からの評価基準や投資判断の実態と両者間のギャップを分析するとともに、その乖離を埋める方法を検討し、実現可能な森林資産評価の基準、プロセスを明らかにする。

研究実績の概要

昨年度は,森林投資が活発な米国に比べて,日本における森林資産評価に関わるインフラが未整備に近い状況であったことを明らかにした。森林資産評価のインフラの遅れは,とりわけ,組織,制度,資源情報に象徴された。本年度は,制度上の遅れとして指摘した林地売買時の公平性や安全性を担保する米国の第三者評価人に相応する日本の競売評価人制度に視点をあて,民事執行法で規定されている競売評価人による森林資産(地目「林地」)評価の実態を明らかにした。同時に,森林資産評価を要する場面と主な評価者を抽出し,主な評価者への聞き取り調査を実施した結果,評価目的は異なるものの競売評価人による森林資産評価方法や課題と差異が無いことが浮き彫りになった。森林資産評価を要する場面は,主に,相続時(相続税,家族信託締結等),分収契約時・精算時,土地・立木取引時(売買、競売,収用,賃借等),森林保険算定時(加入,災害時),森林クレジット(カーボン,生物多様性等)等々になる。それらの評価者は,森林所有者,森林経営者,会計士,税理士,弁護士,不動産鑑定士(競売評価人含む),森林評価士等になる。いずれの評価者も現物資産の評価にとどまり,米国の第三者評価人にみる森林経営による将来価値は含まれないことが明らかになった。米国に関しては,林地売買成立までの第三者評価人の選定方法や売買価格の合意にいたる標準システムならびに森林資産評価の困難性に関わる事項に関する調査を進めた。ドイツに関しては,昨年度までに得た情報をもとに,次年度実施予定のドイツにおける中小規模私有林の売買に関する調査項目を整理した。また,今日,森林資産の価値として世界的に注目され,SEEA2012-CF(環境・経済統合勘定体系)でも重要な指標となってきている森林クレジットについて,その問題点として、二酸化炭素の吸収量のみが考慮されるにとどまっている実態を指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画では想定していなかった森林資産評価のインフラの遅れとして指摘した米国における第三者評価人に相応する日本の競売評価人制度を明らかにする過程で,地目に「山林」を含む競売物件の評価指針ならびに評価額の算定基準について分析を進めることができた。その結果,森林資産評価の日独米の比較研究項目をより詳細にできたことで,「概ね順調に進展している」とした。研究代表者による競売評価に関する既往研究やデータの収集・分析,および競売評価人を選任する地方裁判所や事実上競売評価人資格となっている不動産鑑定士への訪問調査結果等を統合した分析結果について,研究メンバーによる研究会を踏まえて,2024年3月に開催された学会において口頭発表を行った。これまでの成果は,2024年5月を目途として2つの論文が投稿段階にある。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた日独米の森林資産評価に関する特徴から,米国では,主に森林投資の中核である企業有林を主たる対象として,立木と林地それぞれの評価額の算定システムを明らかにする。ドイツでは、主に,中小規模私有林の林地売買に関する追跡調査によって,ドイツの森林資産の評価システムを明らかにする。日本では、地目「山林」の競売評価人を対象に森林資産評価における重要事項と課題について分析を深める。同時に,SEEA2012-CF視点から,これまで明らかにした木材総合供給モデル地を対象とした水平的サプライチェーンの改善による森林資産への還元可能性に照らし,新たに選定した垂直的サプライチェーンのモデル地との森林資産への還元に関する比較分析を行う。あわせて,日本でも本格化の兆しがある森林クレジットによる取引実態から,森林資産評価への影響を明らかにする。以上を通じて、日独米の森林資産評価に関する類似性を考察し,森林資産評価において重要となるファクターと課題を提示する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うちオープンアクセス 4件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 所有森林を見直してみませんか?2024

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 雑誌名

      岩手の林業

      巻: 795 ページ: 6-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 脱炭素社会における森林への注目と森林経営の脆弱性2023

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 雑誌名

      環境経営学会メールマガジン

      巻: 81 ページ: 2-2

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 日米における素材生産業者の環境配慮への取り組み-日本のCRL認証とオレゴン州のOPLプログラムより-2023

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 雑誌名

      山林

      巻: 1670 ページ: 52-60

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ウッドショックと北東北地方の林業生産力2023

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 雑誌名

      林業経済研究

      巻: 69(1) ページ: 16-26

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 林業労働人口縮小下における伐採・再造林の現状2023

    • 著者名/発表者名
      大塚生美・御田成彰
    • 雑誌名

      東北森林科学会誌

      巻: 28(1) ページ: 1-9

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] <論説>森林および木材産業クラスターを対象としたストック・フロー会計の考察2022

    • 著者名/発表者名
      丸山佳久
    • 雑誌名

      横浜経営研究

      巻: 43 号: 1 ページ: 307-327

    • DOI

      10.18880/00015214

    • URL

      https://ynu.repo.nii.ac.jp/records/12568

    • 年月日
      2022-09-29
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 盛岡木材流通センターにおける広葉樹材の価格変動の分析2022

    • 著者名/発表者名
      道中 哲也、大塚 生美、小谷 英司
    • 雑誌名

      日本森林学会大会発表データベース

      巻: 133 号: 0 ページ: 226

    • DOI

      10.11519/jfsc.133.0_226

    • 年月日
      2022-05-30
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 山林評価人に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      大塚生美、堀靖人、丸山佳久
    • 学会等名
      日本森林学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 生物多様性保全と森林管理のための制度的取り組み2024

    • 著者名/発表者名
      堀靖人、大塚生美、高橋卓也
    • 学会等名
      日本森林学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本における森林投資を巡って2024

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 学会等名
      日本林業経営者協会金融部会勉強会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 森林投資2023

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 学会等名
      林業塾
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 新たな段階の育林経営を考える2023

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 学会等名
      宮城県林業経営者協会勉強会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 地銀によるカーボンニュートラル事業2023

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 学会等名
      第133回日本森林学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ウッドショックと北東北地方の林業生産力2023

    • 著者名/発表者名
      大塚生美
    • 学会等名
      林業経済学会2023年春季大会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [備考] 森林および木材産業クラスターを対象としたストック・フロー会計の考察

    • URL

      https://researchmap.jp/read0162244/published_papers/41051457

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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