研究課題/領域番号 |
22K12496
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
|
研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
高木 総吉 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (80332451)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | PFAS / 撥水剤 / 家庭用品 / 化粧品 / 環境残留性 |
研究開始時の研究の概要 |
PFASと呼ばれる有機フッ素化合物は撥水・撥油作用や防汚作用等の性質を有しており、非常に便利で我々の生活を豊かにしてくれている。その一方で、生物や環境中での残留性とその毒性が問題視されている。PFASの使用については一部の化合物を除いて明確な規制は定まっておらず、優先的に規制すべきPFASの選定基準を定め、生物保全・環境保全と利便性・経済の両立を図ることが必要である。 本研究は優先的に規制すべきPFASの選定基準として環境残留性に注目し、実際の家庭用品等の製品中に含まれるPFASの構造と環境への残留性の関係を調べる。
|
研究実績の概要 |
有機フッ素化合物(PFAS)は生物や環境中での残留性とその毒性が問題視されており、多くの国でその使用に対し規制が設けられ始めている。しかし、PFASは我々の生活にとって非常に便利な性質を有しているため、すべてのPFASを規制した場合の影響は大きい。そこで、実際の製品に使用されているPFASについて明らかにし、そのPFASの環境への残留性について構造式から評価することを目的とした。 1年目はまず入手可能な標準品を用い、LC-MS/MS測定を実施して、構造情報が得られるフラグメントイオンについて調べた。 次に、市販の撥水剤、撥水加工された繊維製品を用いて、実際の製品に使用されているPFASについて調査を実施した。今回は43種のPFASを分析対象とした。撥水剤は過去試料として購入日が不明から2016年に購入した20試料、2022年に購入した18試料を対象とした。その結果、過去試料の6試料からスルホンアミド系のPFASが検出された。また、日本において水道水や環境水で規制対象となっているPFOAも8試料から検出された。しかし、その濃度はスルホンアミド系のPFASに比べ非常に低かったことから主成分ではなく、不純物として含まれていたと考えられた。PFOSについては定量下限値未満であった。一方、2022年に購入した試料からは分析対象としたPFASはすべて定量下限値未満であった。このことから現在市販されている撥水材はすでに対策がされていることがわかった。 撥水加工された繊維製品、4試料を分析した結果、2試料からPFOAが検出された。しかし、その濃度は低くかったことから、撥水加工の主成分ではなく、製造工程中か流通中の汚染である可能性が考えられた。したがって、撥水剤と同様に現在市販されている撥水加工された繊維製品についても対策がなされていると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国的なヘリウムガス不足により、ヘリウムガスを使用するGC-MSで測定する半揮発性PFASの分析法については十分な検討ができなかった。そのため、今年度は半揮発性PFASの検出報告のある化粧品については分析ができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
LC-MS/MSで測定するPFASについては分析法が概ね確立したため、分析対象試料を増やし、実際に流通している商品に含まれるPFASの実態調査を実施する。特に撥水加工された繊維製品については4試料しか調査できていないため、優先的に試料を入手して分析を実施する。 また、GC/MSで測定する半揮発性PFASについてはAPGC-MSを使用し、キャリアガスとして窒素ガスを用いる方法を検討する。本装置を用いて半揮発性PFAS使用の報告がある化粧品について分析を実施し、使用されているPFASについて調査を実施する。 分析対象としたPFASが検出されない試料があったことから、分析対象を決めたターゲット分析だけではなく、高分解能の質量分析計を用いたノンターゲット分析を行い、得られるフラグメントイオン情報からその化合物に含まれる特徴的な構造を推定する。
|