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SDGs時代の自然産業政策論としての森林政策:再エネ・労働・財政からのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 22K12508
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
研究機関桃山学院大学

研究代表者

吉弘 憲介  桃山学院大学, 経済学部, 教授 (50537628)

研究分担者 早尻 正宏  北海学園大学, 経済学部, 教授 (50466637)
山川 俊和  桃山学院大学, 経済学部, 教授 (70572395)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード森林環境税 / 森林政策 / 林業労働 / 再生可能エネルギー / 森林環境税(同譲与税) / 木質バイオマス経済 / SDGs / 林業財政
研究開始時の研究の概要

本研究では林業と地域経済の関係を具体的な素材として、1)地域の自然資源の持続可能な利用、2)地域社会を雇用と消費によって支える労働主体、3)上記1)2)を支える財政制度に注目する。環境経済学、地域経済論、地方財政論の研究者によりチームを編成し、脱炭素社会を支える森林資源の再生可能エネルギー化、林業労働のディセントワーク化、そしてそれらを支える税財政システムを学際的手法でトータルに把握することを目指している。以上の研究を進めることで、持続可能な地域社会の実現に向けた「SDGs時代の自然産業政策」の姿を具体的に明らかにする。

研究実績の概要

令和5年度(2023年度)において、本研究では学会報告1件、論文発表6件、ヒアリング調査3件を実施した。以下にその概要を示す。
研究代表者の学会報告及び論文は同一テーマである。報告学会は日本地方財政学会第31回大会(於名古屋市立大学)で、タイトルは「森林環境譲与税は市町村林業費にいかなる影響をもたらしたのか-2019年度21年度決算統計からの分析」である。報告者は研究代表の吉弘が行った。同研究では、森林環境税及び環境譲与税が譲与された自治体において、真水での林業費増加をもたらす要因について量的分析やヒアリング調査をもとに検討するものであった。
その結果、林業費の純増に影響を与える要因として、各自治体の林業労働者数の影響が考えられることを明らかにした。また、資金移動において基金会計が使われており、一部基金化が進むメカニズムについて指摘した。
共同研究者の山川は主に再エネ分野で、早尻は森林政策に関連して業績を発表している。
ヒアリング調査は、大阪府和泉市において森林環境譲与税の自治体財政内での運用上の進め方を確認した。栃木県矢板市においては、森林環境税を用いた事業内容について、域内林業労働力やその定着、林業労働を支える公的教育プログラムの持続可能性についてヒアリングを行った。特に、地域林政アドバイザーの存在が、地域の持続可能な森林計画を策定する上で重要な要素であることが明らかとなった。また、静岡県浜松市の調査では、用材生産が歴史的に定着している有名林業地であることから、逆に再生可能エネルギーのような外的産業との関わりが薄いとされた。地域産業の構造やあり方、素材特性によって林業と再生可能エネルギーの関係性は異なることが認識されたため、有意義な発見のあるヒアリング調査であった。以上が、令和5年度における主たる研究進捗となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は研究報告及び、調査を実施しており一定の進捗をえた。ただし、共同研究者の海外研修などの関係上、共同での研究計画において今年度さらに積極的に進める予定である。
特に、今年度は、共同研究者を含めた調査、研究を行うことで、林業労働と地域産業構造を軸に、比較研究を行う予定である。昨年度は、森林政策という具体的政策領域を題材に、公共政策における資源管理の持続可能性を計るという研究視角が蓋然性の高い仮説であることが明らかとなった。こうした質的調査を前提に、量的分析を組み合わせて実証性が高く、政策インプリケーションをもたらす研究を進めていく予定である

今後の研究の推進方策

今年度は共同研究者を含めて、追加の調査を行う予定である。特に、昨年度実施できなかった北海道地域の林業における追加調査を進める予定である。また、木質バイオマス発電については、国内の状況は曲がり角に来ており、素材生産と副産物利用の関係、素材生産産業と地域経済の持続可能性をはかるという複数の公共目的と民間経済との接続を改めて理論的に整理する必要が出てきている。
このため、林業地域だけでなく操業停止を行った木質バイオマス発電所および、新規の計画や、中小規模発電所を含め、再エネと林業の関連性を分析するための調査を計画中である。
こうした各種の産業に関係して、公共政策、特に森林環境税として調達された財源の利用がどのようになされているのかを継続して調査する必要がある。2024年度はついに課税が開始され、制度が本格的に動き出した。剰余基準について一定の見直しも計画されているが、これが現場の林業の持続可能性に真に資するものとなるのかについては、十分議論が深まっていない。この点を評価できるように、使途の分析や調査を継続して実施する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (7件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 森林環境譲与税は市町村林業費に いかなる影響をもたらしたのか  ー 2019年度21年度決算統計からの分析2024

    • 著者名/発表者名
      吉弘憲介
    • 雑誌名

      桃山学院大学経済経営論集

      巻: 65 ページ: 119-131

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 再生可能エネルギー施設立地の政治経済学 : 日本の木質バイオマス発電を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      吉弘 憲介、山川 俊和
    • 雑誌名

      季刊経済研究

      巻: 41 号: 1-4 ページ: 49-63

    • DOI

      10.24544/ocu.20230225-004

    • ISSN
      2436-0392
    • URL

      https://ocu-omu.repo.nii.ac.jp/records/2019548

    • 年月日
      2023-03-31
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] SDGsと環境経済政策 脱炭素化、エネルギー転換、世界経済2023

    • 著者名/発表者名
      山川俊和
    • 雑誌名

      季刊経済理論

      巻: 60 ページ: 21-31

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 〈脱炭素世界経済〉における日本の環境経済戦略 グリーントランスフォーメーション(GX)とその隘路2023

    • 著者名/発表者名
      山川俊和
    • 雑誌名

      生活経済政策

      巻: 319 ページ: 11-16

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Assessing the environmental and climate crisis in the Japanese context: Shigeto Tsuru revisited2023

    • 著者名/発表者名
      Yamakawa Toshikazu
    • 雑誌名

      The Japanese Political Economy

      巻: 49 号: 2-3 ページ: 169-182

    • DOI

      10.1080/2329194x.2023.2258185

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 森林政策における地方自治体の課題と期待2023

    • 著者名/発表者名
      早尻正宏
    • 雑誌名

      自治実務セミナー

      巻: 738 ページ: 8-11

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 森林資源を活かして環境と地域経済を守るために――北海道林業の持続可能性の向上方策2023

    • 著者名/発表者名
      早尻正宏
    • 雑誌名

      農業と経済

      巻: 89 ページ: 173-181

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 森林環境譲与税は市町村林業費に いかなる影響をもたらしたのか  ー 2019年度21年度決算統計からの分析2023

    • 著者名/発表者名
      吉弘憲介
    • 学会等名
      日本地方財政学会第31回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 再生可能エネルギー施設立地の政治経済学:日本の木質バイオマス発電を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      吉弘憲介, 山川俊和
    • 学会等名
      経済理論学会第70回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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