研究課題/領域番号 |
22K12514
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 忠良 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (50334016)
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研究分担者 |
日向 伸介 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (60753689)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 葬送文化 / 火葬場 / 都市 / 文化人類学 / 近代史 / 葬制 / 現代タイ社会 / 葬送実践 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、現代タイ社会を理解する研究主題として、「死」の問題を取り上げる。ここで明らかにすることは、葬送に関する諸実践の様態とその変化からみえる現代タイ社会の特徴である。具体的には、20世紀初頭から現在に至るまでの約100年のあいだの首都バンコクとその周辺地域における葬送実践の変容に焦点を当てる。葬送実践を、①「法的・行政的制度化」、②「分業化・専門化」、③「共同体化」、④「個別・特殊な物語化」という4つのトピックに分類して、現代タイ社会において変化していく「死」の諸相についての基礎的情報を総合的に収集し分析することで、現代タイ社会の一側面を描き出すことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、20世紀初頭から現在に至るまでの約100年のあいだのタイ国の首都バンコクとその周辺地域における葬送実践の変容を明らかにすることを目的としている。特に、葬送実践を①「法的・行政的制度化」、②「分業化・専門化」、③「共同体化」、④「個別・特殊な物語化」という4つのトピックに分けて、近現代のタイ社会における「死」の諸相を明らかにする。今年度は、4つのトピックのうちの②「分業化・専門化」と③「共同体化」の観点から、バンコクにおける葬儀関係組織や葬送文化についての情報を収集した。その内容は以下の通り。 1.1932年に王政から立憲君主制へと移行した後、タイ国政府(人民党政府)は、古い身分制度への意識を改めるため、国民に平等に同じ火葬サービスを行うことができるよう近代的な公営火葬施設の建設を計画した。しかし、公営火葬施設の建設は中断され、近代的な火葬設備は寺院に併設されることとなった。そのため現在のバンコク都内ではすべての火葬場は仏教寺院に併設されたものとなっている。 2.タイ政府は、従来から行われてきた葬儀の際の互助的慣行を、農村部・都市部をとわず「葬儀互助会」組織として規定し、その整備を行った。しかし、都市部では地域住民による葬儀互助会はほぼ消滅し、公務員や軍人組織の葬儀互助会のみが残っている。バンコク都内の大規模火葬場(葬儀場)のいくつかは、軍と警察の葬儀互助会によって運営されている。 3.バンコクのような都市部では地域住民による「葬儀互助会」に代わり、葬儀に関わる様々なサービスを提供する葬儀サービス会社が生れ、都市住民の葬儀においてはこの葬儀サービス会社が大きな役割を果たしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は4つのトピックのうち②「分業化・専門化」と③「共同体化」の観点から、バンコクにおける火葬設備の歴史と現状、葬儀互助会の役割の変遷、葬儀サービス会社の伸展についての資料収集をすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、②「分業化・専門化」、②「共同体化」についてのさらなる資料の収集・分析、と、これらの背景となる①「法的・行政的制度化」についての資料の収集・分析とを行う予定である。
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