研究課題/領域番号 |
22K12517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
深川 博史 東海大学, 文理融合学部, 特任教授 (30199153)
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研究分担者 |
水野 敦子 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10647358)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 韓国 / 農業雇用 / 外国人労働力 / 季節勤労者制度 / 日韓農業 / 外国人雇用 / 農村社会 / 持続可能性 / インパクト / 日本 |
研究開始時の研究の概要 |
日韓の農村では、人口減少と高齢化が進み、農業は、家族経営から雇用中心の経営へと移りつつある。労働強度の高い農作業に高齢者は従事困難であり、若年の外国人が、畑作・野菜、施設園芸を中心に雇用労働者として定着している。農村社会がオープンな韓国では、季節雇用により季節栽培が拡大しており、クローズドな日本では、周年雇用を通じて、農閑期の裏作などの周年農業が拡大している。労働者不足解消のための一過性の解決手段とみられていた外国人の雇用が、農村社会の持続可能性に寄与している。本研究では、日韓農業における外国人の雇用拡大が、農村社会の持続可能性に如何なる影響を与えているか、実態調査により明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
前年2022年度の、韓国京畿道の農産物流通法人ヒアリング調査では、タイ人が複数雇用され長期安定的な就労を実現していた。農村社会の外国人雇用への依存が深化するにつれて、長期安定的な就労が課題となるが、一方で、長期就労は送出国の状況などに左右される。そこで、2023年度は、送出国の事情を調査するためタイ国で、韓国の送り出し機関等を訪問調査した。その結果、タイ国では韓国への就労希望者が極めて多く、今後も継続的に送り出しが進むことが確認された。 その後、韓国全羅北道E市で調査を行った。E市では、2019年に中国の自治体とMOUを結び受入れを開始したが、コロナのため開始1年で中止した。コロナ明けの2023年より、ベトナムT市とMOUを結び、担当職員を1年間派遣して、季節勤労者制度による受入れを開始した。2023年の受入れ人数は、上半期102名、下半期102名の計204名であった。加えて、季節勤労者制度により結婚移民も100名程度受入れている。季節勤労者制度は3か月か5カ月を選択可能で、後者は、8カ月まで延長できる。E市は自治体独自の支援として、当初は、往復の航空券を提供していたが、現在は、予算の制約から帰国便のみとなっている。また、災害保険料及び、宿泊費を支援している。就労内容は、上半期は、さつまいも(ハウス)5カ月以上、露地は3カ月従事する。下半期は、サンチュ・玉ねぎなどの栽培・収穫に従事する。7割が女性である。給与は最低賃金9,860ウォンで、2024年春の為替レートで円換算すると1,084円となり、日本の地方の最低賃金を超える。東南アジアの人々が就労先を選ぶ場合、韓国が選択される条件が整いつつあると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、コロナも終息し、農村調査を実施することができた。コロナ禍で韓国農村は、外国人労働者の受入れが減少していたが、2023年より受入れが増える傾向にあり、農村の外国人労働力依存構造が再び深まりつつあることが確認できた。 研究成果の一部は、アジア政経学会と、Korea Foundationの研究会にて報告し、参加者から有益なコメントを得ることができた。そのコメントを反映させて執筆した日本語論文が、九州大学の『経済学研究』に、英語論文が、『韓国経済研究』に掲載された。 韓国では、コロナ明けの、外国人受入れが、自治体単位で進展しており、さらに、それらの調査を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
自治体単位で、外国人労働力の受入れを推進している地域で、再度、ヒアリングを行い、その自治体の中の、受け入れ農家について、調査を進める計画である。 これまでの調査では、外国人労働力受入れへの姿勢は、自治体間でかなりの差異があることが判明した。ヒアリング相手の担当者により反応もかなり異なる。工夫を凝らした受入れ政策を展開し、受入れ担当者が熱心である地域を探すことは難しい。調査相手との最初のコンタクトの段階で、いずれの自治体・担当者が、有益な情報を有するか判別することは困難である。期待した自治体に情報がなく、その反対に、予想外に多くの有益な情報が得られる場合もある。2023年度には、受入れに積極的な自治体・担当者に、ヒアリングできた。2024年度は、そこを拠点に他へもヒアリング対象を広げていく計画である。
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